俺と恵さん 11年前の春画

36話 雨が降る




「ふー、ただいま」




「優様、大丈夫ですか?」




恵さんが準備していたタオルを俺に渡してくれる。




「すいません。急に雨が降ってきましたので」




「お風呂は沸かしてあります。お風邪をひかれては大変なので、先にどうぞ」




「ありがとうございます」




体を少し拭きながら浴場に向かう。ちょうど沸いたところのようで、とても暑くて気持ちよかった。




「お風呂いただきました」




そしてお風呂から出てくると、恵さんが休憩していた。




「災難でしたね。もう外は晴れていますよ」




窓の外はすでに夕焼けがしっかり出ていて晴れていた。




「典型的な夕立ちですね」




「ええ、そうですね」




「恵さん、顔の向きがおかしいです。外を見てください」




恵さんは夕立ちと言いながら、俺の局部を見ていた。




「すいません、失礼しました。朝立ちの反語は夕立ちではなく、夜立ちでしたね。まだ夕食までお時間はありますので、すこしお休みになられても大丈夫ですよ」




「なぜ俺を寝かせようとするんですか!」




朝立ちと夜立ちは俺の意思とは別だから許してください。








37話 真っ白になりましたよ




「牛乳が好きなんですけど、飲みすぎるとおなかがすぐに痛くなります」




「優様は小さいころは牛乳が嫌いでしたからね。おそらく牛乳を分解する酵素がなくなりつつあるのでしょう」




俺は牛乳を12歳ころまでほとんど飲まなかった。




別に飲まなくても、そこそこ身長があったので、気にしなかった。




だが、恵さんがどんどん身長が大きくなっていくので、焦って牛乳を飲み始めた。




そのかいあってか、中学3年生で173センチになり、なんとか恵さんとほぼ同じくらいになった。




ところがここ最近牛乳を飲むとおなかが痛くなることが多くなった。




恵さんも牛乳が好きで、ワインの次くらいに飲んでいる。20歳の恵さんがここから更に大きくなるとはちょっと考えにくいが、やはり俺の方が身長が大きくなりたい。




「小さい頃から飲んでいる人は、年をとってもその酵素をなくしにくいそうです」




「もっとのんどけばよかったです」




「精液もそうなのでしょうか? 若いうちに飲んでおけば、年をとってもお腹を壊さない気がします」




「いや、あれ飲むものじゃないでしょう。どうかと思いますよ」




「いえ、ですが、ぺ○スさえきれいにしてあれば、かなり綺麗ではないでしょうか? 汗と涙は肌や毛穴を触りますし、鼻水は空気中の汚れをとってますし、尿は明らかに有害で、口の中は細菌だらけですから唾液もダメでしょう。それに比べると精液は、直接体で作って、そのまま飛び出すわけですから」




微妙に納得できる話だが、同意はしたくない。俺は腹痛に耐えてでも牛乳は飲む。






38話 いじめ……?




「やーい、やーい」




のんびりと帰路についていると、小学生くらいの子供が3人いた。




「や、やめてよ……」




2人が1人をいじめているようだ。




「しゃくれ! しゃくれだー」




いじめられている子は、顎が少し出ていて、それをいじめられている。




本人の行動が悪いならともかく、身体的特徴をいじめられるのはかわいそうだ。助けてあげなくては。




「お待ちください」




すると恵さんが俺の手をとる。いつの間に後ろにいたんだ。




「あ、恵さん。でも……」




「子供のされることですが、けがをされては大変なので。ここは私にお任せください」




そして恵さんが3人のところに行くので、俺もついていく。




「「しゃくれ! しゃくれ!」」




「僕たち、そんなことを言ってはいけませんよ」




「なんだお前は~? 関係ないだろう~」




俺と変わらないくらいある恵さんを相手にしても、子供はひるまない。ずいぶんと豪胆だな。




「いえ、関係あります。外で小さな子供が、卑猥なことを言っておられるのですから」




ん? なんか俺の思っていることと違うぞ。




すると恵さんは右手に手袋をして、いじめていた子のうちの1人の股間を思い切り握った。




「あっ……」




急所を握られた小学生は動けなくなり、ほかの2人もあっけにとられて何もできない。




「しゃくれ! なんて言ってはいけません。それは自分のここをしゃぶってくれ! という命令の言葉ですよ。もし変な人がこの辺りにいたら、襲われてしまいますよ」




今すでに襲われているような気もするが、とりあえず静観する。




「や、やめ……」




「わかりましたか? もう2度としゃくれなんて言ってはいけませんよ」






「は、はい……」




「よろしいです」




そして、手を放すと、いじめをしていた2人は逃げていった。




「坊やも気を付けて帰ってください。では」




そして、恵さんは最後の1人にも一声かけて、終わったという感じで俺のもとにきた。




「め、恵さん、なんてことしてるんですか……」




「大丈夫です。これは抗菌使い捨て手袋ですから、すぐに捨てます」




そして、手袋をはずして、近くのごみ箱に捨てる。




「そういう問題ではなくて……」




「ああ、あの子なら知ってます。ここの近所の奥様の息子さんですから、お母さまとは顔見知りです。問題にはなりません」




「そ、そうですか」




すべて考えたうえでの行動だったのか。




「それに、ただ注意するよりも、この方がいじめも起こらないでしょう」




「でも、今後はこういうことはしないでください」




「どうしてですか?」




「俺の専属メイドだからです!」




俺はなぜそう言ったのだろう。そもそも理由になっていない。




「…………、かしこまりました」




だが恵さんは了承してくれた。






ちなみに恵さんの言った通り、いじめはなくなったらしい。




38話蛇足 恵サイド




優様……。小学生に焼きもちを焼くなんて。また愛おしくなりました。




私もたとえ相手が子供とはいえ、素手では触りたくなかったので、手袋をしたのですが、それには気づいておられるのでしょうか?




俺の専属メイドって、言ってもらえてうれしいです。




そこにたとえ恋愛感情がないとしても、独占をしたいという気持ちがあるということが知れましたので。




次同じことがあれば、違う方法にいたしましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る