俺と恵さん 6か月目で妊婦とわかる

19話 老化現象




「優様は毎日自慰をされていますね」




「ブッ!!」




さわやかな朝にのんびりと紅茶を飲んでいるときの唐突な発言に、紅茶を吹き出してしまった。




「きゅ、急に何ですか……」




「いえ、私の部屋は優様のお隣ですから、なんとなくわかります。音とか気配で」




「わ、悪いですか?」




「いえ、若くいるためには毎日やったほうがよろしいです。優様にはいつまでも若くいてほしいのです」




「何のことですか?」




「古い精子は活性酸素を出して、老化を促進しますから、毎日入れ替えて交換するのがいいです。ただし20代までですが。30歳を超えたら毎日しないほうがいいですよ。ちなみに私もほぼ毎日です。ホルモンの分泌を促すためです」




いつもの無表情だが、自己主張の強い胸を強く張って、自信満々で言ってきた。




「やりすぎはよくないとか言われてますけど、若いうちはいいと思います。罪悪感もなく思い切りやってください!」




そんなことを言われてはとてもやりづらかったので、その日はしなかった。




そしたら、健康を疑われて、やらなかった理由を問い詰められるという目にあった。




横で聞かれてると思ってできるわけがない。しかも同じ時間に恵さんもやってるかもしれないのに。




とは言っても毎日やってた人間が2日我慢するのは難しかったです。次の日は我慢できませんでした。




その次の日の恵さんの安心しきった顔に、複雑な感情を持った。










20話  さしすせそ




「料理のさしすせそはご存知ですか?」




「ええ、料理はしないですけど、それは一般教養ですね。砂糖、塩、酢、醤油、味噌ですよね」




知らない人がもはやいるとは思えないほどの知識である。




「はい、ですが、これが入れる順番も同時に示しているというのはご存知ですか?」




それは知らなかった。先人の知識というのはすごいんだな。




「私もこう言ったものを考えてみましたので、聞いていただけませんか?」




「いいですよ。面白そうですし」




『さ 先走り液


 し 射精


 す スペルマ


 せ 精力絶倫


 そ 外だし』




「どう思いますか? 順番もそこそこ成立していると思いますが?」




「俺にこれをどうしろというんですか」




「感想を言ってほしいです!」




「とりあえず、明日からは忘れてください」




そのあと、『せっかく他の行も考えたのに』という小さな声が聞こえて、ちょっとだけ聞いてみたい気持ちにもなった。意外とサ行うまかったし。






21話 湿気




「雨が多いせいでドアの開け閉めが悪くなりましたね」




雨が比較的よく降るのはいいことなのだが、木造建築で、家具も木が多いので、湿気でドアが膨張してしまって、とても動きにくくなった。




「雨が降っている間に、修理して、交換すべきものは今いたしましょう」




「そうですね、湿気のある日でも、大丈夫な家具を狙うなら、あえて湿気のある時期に交換ですね」




何か新品のものを買うなら普通は晴れた日だが、家具は実用性を考えて雨の日に買うのがいいと思う。実に理に適っている。




「湿気があっても開け閉めがきちんとできるものが、良質だといえます。ちなみに私も頻繁に濡れていますから名器ですよ、メイドって、その屋敷に存在意義がありますから、家具みたいなものですし」




「恵さんを家具というのなら、もう少し無口である必要があると思いますがね」








22話 日本のマヨネーズは世界一! でもあれは世界最低?




「日本のマヨネーズが世界でも評価されています。と、いうわけで、あえて外国のマヨネーズを手に入れてみました」




恵さんが俺の目の前に置いたのは、瓶詰のちょっと色が白いマヨネーズ。




「まずくはないですけど、ちょっと薄い気がしますね。あと瓶詰だと慣れませんね」




「日本のマヨネーズは濃厚ですから人気だそうです。作り方にコツがあるみたいです」




恵さんのつくったあのマヨネーズも、名前以外は濃厚で美味しかった。とくにアメリカで人気なところを見ると、味の濃さが人気の秘訣なのだろう。




「しかし、精子は現在精液が薄くなっているそうです。精子の数も世界最低に近いそうです」




「なぜ、マヨネーズから精子の話につなげたかは突っ込まないでおきますが、そうなんですね」




「その点優様はとりあえず濃度はばっちりですよね。精子の数までは把握できませんが」




自分のあれと同じ濃さのマヨネーズを味は美味しいので食べているのだが、それを恵さんも使っているのを見るといけない気持ちになってしまう。俺は何も悪いことしてないのに。








23話  立たない




「最近いろいろ任せすぎて、役に立ててませんね」




「EDですか?」




「違います! 恵さんにいろいろ任せっぱなしで何もしてないってことです!」




「いつも何かしてるじゃないですか」




「あれは俺のためにやってるんです! 恵さんのために何かしたいんです」




「優様……」




頬を赤らめて少しだけ口元が緩んでいる。俺の気持ちが伝わったようだ。




「でしたらやはり、最上級にそそり立った優様のぺ○スを見せていただければ、私の想像力が上昇しますので、ご協力お願いできますか?」




「もちろん却下に決まっています。そういうことではないんです」




というか1番最初に出てくることがそれというのが悲しい。

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