戦国茶道甲冑絵巻「下天」

早起き三文

第1話「美濃勢、襲来」

  

「吉法師はまだ帰らぬか?」

「ハッ、御館様……」


 ややに怒りを帯びた男の声、それに対し傍らで膝をつき、控えている初老の男の口から苦く、笑いの混じった言葉が返る。


「おそらくは、未だ城下の視察を務めておられると……」

「そう言い方を変えると、な」


 傍らの者から御館様と呼ばれた、四十がらみの威風堂々とした男、彼はそう口ごもるように呟きながら、城の最上階にと位置をする自室の。


 サァ……


 調度が良く成された部屋に引かせてある畳を、擦らせるかのようにその脚を縁廻にと進ませ、眼下へ広がる街並みを見渡す。


「単なる勝手の散策も、良い風に聞こえるのが、妙と言うものであるな、政秀」

「左様で……」


 男の手招きに応じて、政秀と呼ばれた男も縁の板を踏みながら、多少の遠慮を含みつつ、主の近くへ歩み寄る。


「私が探して参りましょうか、殿?」

「頼む、政秀よ……」


 そう、嘆息混じりの言葉を部下へと向けた後に男、この尾張の地を治める統治者は。


「美濃勢、な」


 その体躯を翻して、さらに縁の先へと進む。


 スゥオ……


 澄みきった、何処までも拡がる青天を煌めかす、天を覆う春の陽が彼等の身体へと降り注ぐ。


「美濃勢が、な」

「ハッ……」


 昼の太陽を背にしているということは、今この二人の男がいる縁廻りは北の方角ということであろう。


「あの蝮が」  


 北に見えるは悠々たる水を湛えた大河、その水の路の先には、葉の実り豊かな山々の姿が男の目にと映し出される。


「春の陽気に、姿を表しておるわ」


 そう低く呟きながら、腹心の部下へ向けて皮肉げな笑みを浮かべると同時に、男は自らの額を指でコツリと叩く。



――――――





 春の陽気、にしては気温が暑く、この小さな寺に訪れる者も少ない。


「やっと、退屈な小用が終わったわ……」


 そもそも春先は農作業、そして木曽の大河での漁に忙しい時期だ。この寺から出てきた少年、若者にしても用事は残っており、今だけが僅かな休憩の時である。


「御大将」

「ん?」


 その、身なりを良く整えた彼の前に。


「御大将、アッシです」

「おう」


 あぜ道から飛び出してきた、その二人の少年達から御大将と呼ばれた若者は。


 スゥ……


「何だ?」


 その端整な顔を、ゆっくりと彼らにと翻させる。


「どうした、猿?」

「ご覧ください、吉法師様」


 吉法師、その名前を持つ少年の前にと控える、これまた二人の少年。実と彼等を見据える吉法師と同年代と思われる若者の内、ともすれば顔が猿のそれを彷彿とさせる少年の側が。


「AKMです」


 プ、フゥ……


 自慢げに、その顔をひくつかせた。


「あっしらが金を出しあって買った、AKM(自動騎馬武者)でございます」

「ホウ……」


 そう、言いながら猿顔の少年はあぜ道にと置かれている人間大の「騎馬」を御大将、吉法師と呼ばれた男へと、その両手を翻して、強く見せつける。


「良い商売をしたようだな、猿」

「今川で働きをしていた時に、少しツテが出来ましてな」

「で、あるか」


 吉法師は猿顔の少年へそう言い、笑いかけながら。


 クゥ……


 寺の小坊主から貰った串団子を口にと含み、その薄味の「みたらし」を一気に口の中へと押し込む。


「悪くない自動騎馬のようだな、猿……」

「しかし、こやつもあの」


 猿少年、その「猿顔」をしわくしゃに歪めさせ、ややに乾いた笑い声を響かせる彼の視線の先には。


 ズゥ……!!


 木曽の大河の上を疾走する複数の影、新鋭タイプの自動騎馬「AKM」の姿達が浮かんでいる。


「あの最新型にはかないませぬわ、御大将」

「利家、あやつらが乗っているあれは織田の試作型、最新鋭の機体であるよ」


 モゴモゴと団子を咀嚼しながらも、吉法師は器用にその口の端を歪め、ややに皮肉げな笑みを「猿」達へと向けた。


 シィア……!!


 その自動騎馬群の先頭機へとまたがっている、利家と呼ばれた男のシルエットがこの尾張の地の若様、吉法師に対して軽くその手を振ったように見える。


「下賤の主らに賄えるものではない」

「酷うございまする、御大将」

「フフ……」


 そう言いながら、吉法師は利家機達へと向けて。


 ポゥ……


 届くはずもない空の串を放り投げながら、猿のふくれ顔に嫌みな笑みを浮かべてみせる。


「ああ弟、弟猿よ」

「ねい、御大将様」


 先程から、吉法師と兄の会話に微笑みを浮かべたまま無言でいた少年、猿の弟にと向けて。


 フゥ……


「小粒銀、よろしいので?」

「とらすぞ」

「ありがたき幸せ……!!」


 以前に、ちょっとした下働きの報酬を放ってやる吉法師。


 ザァ……


 春風が、暖かい風が僅かに寺を取り囲む木々達を揺らし、桜の花を散らす。


「良い天気やのう、猿」

「まことで」


 水上での機体テストを終え、近くにある出城へと帰投していく利家達。彼らのAKMを眺めながら、吉法師は自身の細い双眸をより細め、中天で輝く太陽からの光をその顔に感じさせた。


「ん……?」


 ドゥ……


 寺の前でつどっている吉法師達に向かい、一機のAKMが土煙を上げながら近付いてくる。


 ドゥ、ドフ……!!


「市、それに……」


 その彼らの前へ、二人の少女を乗せたAKMが着地をする。


「兄上」


 トゥ……


 タンデムで自動騎馬に跨がっていた少女の内、後ろの娘が淑やかにその細身を機体から降ろさせた。


「市さまや、小一」

「お、おう、兄者……」


 絶世の美少女、この界隈で男達がその話題を口へ出すとき、必ずと言って良いほど、彼女「市」の名が挙がる。


「市か、何だ?」

「また、この猿達と一緒でしたか、兄上は……」

「それに」


 AKMの操縦士、市と呼ばれた娘よりも小柄ながらも彼女。


 ス、トゥ……


 しなやかな身のこなしで地面へと降り立つその娘、想像される年の頃に見合わぬ色香を発散させている、その少女が自身にと持つ。


「お久しゅう、吉法師殿……!!」


 肉置き豊かな肢体は、パイロットスーツを着ても隠せるものではない。


「蝶、帰蝶どのではないか?」

「久しぶりであるな、吉法師殿よ」


 その少女はヘルメットを小脇に抱えながら、わきまえた礼儀をもって吉法師へと一礼をしてみせる。


「一段とお美しくなり、なりよりであるよ、帰蝶殿」

「美しくなんぞ、なってはおりませぬよ」


 そう言いながら帰蝶と呼ばれた少女は、軽くその肩を竦めてヒソヒソと話し合っている男達、猿達へとジトリとした視線を差す。


「市様はお美しいのう、まっことに」

「嫁に貰える者は果報者であるな、兄者」


 彼女、帰蝶の事なぞ全く触れない二人の少年の会話を、その耳にと入れながら。


「ほら、吉法師殿」

「申すなよ、帰蝶殿……」


 少女は軽く、ため息を吐き捨てた。


「下賤には、主の魅力がわからぬのじゃに」

「その下賤ならばこそ、発育だけが良い、私のような女を好む気がするのだがな……」


 吉法師達の妙なその会話、それを絶世の女、市はクスクスと笑いながら聴いている。


「だがな、市」

「はい、兄上」

「俺がここにいること、よく分かったな?」

「平手政秀様が言っておられました」


 フゥ、ン……


 その妹の言葉に、吉法師は不愉快そうに鼻を一つ鳴らす。


「この雲一つ無い青天ならば、正午の鐘の時には何があろうと兄上は必ずこの政修寺の前にいると」

「全く、政秀の奴め……」


 深くため息をつきながら、吉法師はそれでもややに陰りを帯びてきた天気、それの様子をぼんやりと眺め始めた。


「父上が、役目を切り上げて城へ戻れとの仰せです」

「あのな、市……」


 夕方から夜に雨、独学で身に付けた天気の予測法を頭の中で呟いてから、吉法師は腹違いの妹の顔へじっとその視線を差し向ける。


「まさか、それだけの為にわざわざ主らが?」

「平手の爺様も、兄上を探しておりまする」

「何だか知らぬが、大袈裟に過ぎるよ、父上は……」


 何か、自分の行いが監視されているような気がしてきて、気分がムシャクシャしてきた吉法師は。


「そんな神経質な父御の言葉なぞ、聴くもんか……」


 今の父親の命令、そして朝方に頼まれた午後の用事なぞは無視して、近くの腕白共を集めて相撲大会でもしようかと考える。


「御大将、吉法師様!!」

「ウゥム……」

「ちょっと!!」


 いや、確か利家達めが駐屯している出城に中古AKMが数機あったはずだ、それを引っ張り出して、河原でレースでもするか。


「御、大将!!」

「何だ、うるさいぞ、猿……」

「あれを!!」

「キャンキャンと大声を上げるでないわ、全く……」


 うるさい声に考えを中断させられた吉法師は、その眉をしかめつつ猿の。


 フゥ……


 彼が叫びながら指を指した方向へ、面倒くさそうにその視線を向ける。


「何だと言う……」


 次の瞬間、その光景を目にした吉法師の顔が一気に引き締まり、彼の瞳孔が鋭く絞められた。


「武装AKM!?」


 隣国「美濃」との国境を兼ねる大河の向こう側、きらめく昼の光を天と水面から受けながら、AKMの大部隊が織田が統率する大地、尾張領へと迫りくる。


「や、野盗かな、兄者!?」

「いや、あんなピカピカの機体なんか野盗野武士が持つもんじゃ……!!」


 騒ぐ小者少年二人に少し冷たい視線を投げ付けながら、帰蝶と呼ばれた少女がその自動騎馬群の先頭機が掲げている旗。


「あれを、吉法師殿」

「うむ……」


 それに帰蝶は吉法師の視線を向けさせるように彼の腕を取り、その指先を旗へと伸ばさせる。


「やはり美濃勢、であるか……!!」


 美濃勢、常に臨戦態勢ではあったが、ここ最近は特に小競り合いの一つも無く。


「しかし、この軍勢は!!」

「私の父上は、蝮は狡猾でありますゆえ……」

「言うではないか、帰蝶どの!!」

「どうも……」

「気に入らんな……!!」


 その吉法師の言葉にあえて笑みを浮かべてみせる帰蝶、蝮の娘の面持ちは決して美しいとは言えないが、彼女のその眼光は全ての男共を威伏させるともっぱらの評判だ。


「帰蝶、市を頼む!!」

「私を信じてくださって、吉法師殿!?」

「お主がここにいること自体が、関係の無さを証明しておるわ!!」

「お有り難い事!!」


 ドゥ、ウゥ……!!


 帰蝶達の飛び乗ったその高速AKMが地面から浮遊をし、排気ガスを吐き出しながらエンジンが回りはじめる。


「急げよ、帰蝶殿!!」


 その吉法師の声に帰蝶は親指を立てて答え、一気に自動騎馬のスピードを上げ始めた。


「猿!!」

「城へお戻りに、大将!?」

「いや、近くに利家の奴が詰めている出城がある、そこまで俺を乗せて……」


 ドゥ、ドゥルル……!!


 三人の少年が居座っていた政修寺、その寺の脇にある地下ハンガーデッキの扉が開き、その中から複数のAKM機動僧兵が発進する。


「若殿!!」

「沢彦、野盗狩りに行っていたはずでは!?」

「予感と、そして忍びからの情報により!!」

「そうか!!」


 吉法師の前にAKMを駆る一人の剃髪僧、禅僧である沢彦が自機をアイドリングさせ。


 ジァ、ア……


 全僧兵AKMとのデータリンクを行いつつに、自機のコンディション・チェックを行っている。


「ちょうど良い!!」


 駆け寄ってきた吉法師に思いっきり防弾袈裟を引っ張られ、AKMから落ちそうになった僧、沢彦は慌ててハンドルを掴み直し。


「俺が乗れるAKMはあるか、沢彦!?」

「乱暴ですぞ、若……!!」

「あるかと訊いている!!」


 不平の色をその面に出しながらも、政修寺の住職はその吉法師の言葉に軽く頷き、彼沢彦に追従をしてきたAKM僧の内、一人を手招きする。


「旧式でありますが、整備は行き届いております」

「うむ!!」


 若い僧から譲り受けた、旧式AKMに吉法師は飛び乗ると機体のコンソールへその目を瞬時にと走らせる、コンディションは良好。


「我らも一緒に、御大将!!」

「であるか、猿!!」


 ダッ、ダッダ……!!


 美濃勢の先発機体から放たれたバルカン砲の音が、吉法師達の耳を強く揺らした。


「警告も無しか、美濃め!!」

「エンジンが、かからないよ兄者!!」


 起動に戸惑っている猿達を無視して、吉法師は急いでAKMのエンジン出力を上昇させようと、馬無し騎馬のスロットル・バーへとその手を伸ばす。


「引けい、尾張の弱兵!!」


 その村へと突入してきた敵機の放った弾丸が、逃げ遅れた漁民の身体を吹き飛ばす。


「美濃の者の行く手を、阻むでないわ!!」

「俺の前でその台詞を言う男は!!」


 怒声と共に再度放たれたバルカン砲を、吉法師は。


 グゥ……!!


 起動したばかりのAKMを機敏に動かし回避機動を行い、そのAKM起動時の勢いを生かしたまま、敵機体群へと自動騎馬の機首を差し向けた。


「たとえ、仏であろうとも手打ちにすると決めておる!!」


 ガッ、ギォア……!!


 吉法師の機体が凄まじいスピードで無法を行った先頭機へと体当たりをし、その吉法師機に括りつけられた先端の突撃衝角が美濃勢のAKMを粉砕する。


「さすがに旧式!!」


 ギィ、ギッギ!!


 加速性能、そして速度だけはあるが、小回りが効かない旧式機はそのまま。


 ザァ……!!


 茅葺き屋々の脇、そして畑の上を風を鳴らしながら突き抜けて、大河「木曽」の麓まで突き進んでしまう。


「俺、吉法師と同じく先に疾る!!」

「吉法師!?」


 美濃AKM陣の後列にいた兵が、いきなり近くまで接近をしてきた尾張の自動騎馬のパイロットの顔を見て、驚きとどこかに悦びが満ちた声を上げ、その機体機首を吉法師のAKMへと向ける。


「間違いない、吉法師だ!!」


 バゥ!!


「手柄だ!!」

「くそ!!」


 旧式AKMではその敵機が放つ機銃をかわすのが難しい、歯噛みしながらも、それでもどうにかスラスターを噴かせて回避に専念する吉法師。


 ダゥアァ!!


「助かる、沢彦!!」

「油断を召されるな、若!!」


 自機の操縦をしたまま、手に持ったバズーカで吉法師を狙っていた美濃兵を吹き飛ばした沢彦僧へ礼の言葉を叫びながら、吉法師は何とか機体を旋回させようと足掻く。


「吉法師だよ、吉法師!!」

「御大将の名を呼び捨てにすにゃど!!」


 操縦を弟へ任せている猿は、美濃兵達から尾張訛りと馬鹿にされる声言葉を放ちつつ、その手に持つ種子島ビーム・ライフル、旧式ビーム兵器の銃口から敵機へ向けて火線を放つ。


「百年早いわ、美濃のアホウ共!!」

「吉法師、織田の跡取りだぞ!!」


 自分達の、美濃の部隊へ突出をしてきたAKMのパイロットが吉法師、織田家の時期当主であると解った美濃兵達の一部が、村への襲撃を中止して、国境の河へと機体をターンさせる。


「大金星だ、大金星!!」

「命令違反であるぞ、貴様ら!!」


 その美濃勢の隊長と思しき男が、目先の欲に駆られて次々にAKMを引き返させた部下たちの姿に慌てて、彼らを制止させようと怒鳴り声を張り上げた。


「我々の目的は新型だ、安藤!!」

「しかし、明智様だって!!」


 ズゥ……!!


 体勢を整え直した吉法師の機体へ、再び美濃兵達が迫り来る。


「戦場で手柄を立てて、出世をしたんだ!!」

「チィ!!」


 欲に満ちた美濃兵の叫び声と同時に、吉法師のAKMへ複数のバルカン火線が疾り跳ぶ。


「このような物で!!」


 ガァ……!!


 どうにか自機をスライドさせて敵機からのバルカン発射軸を反らした吉法師は、そのまま自分のAKMを再度水平に移動させたまま、機体の固定装備であるオートキャノンをその敵機達へと向け。


 バゥ、ウ!!


 一気に、フル・オートで斉射させる。


「沢彦、良い火砲を調達してくれた!!」


 その火力に比べ、想像よりも遥かに反動が少ない自動砲の性能に感心しながらも、吉法師はその大火力兵器で自分へとまとわりつく敵機達を蹴散らしつつに。


「まずは、じきに来るであろう利家達との合流だな……!!」


 後続の武装農民達、彼等も程度の悪いAKMを駆りながらよく美濃勢たちに抵抗しているが。


「何だかんだ言っても、相手は武士だろうからな……!!」

 

 所詮はあの猿達を含めて、素人に毛が生えている程度だ。相手美濃勢が指揮系統を回復したら勝ち目はない。


 ズゥ……


「た、助けてくれ!!」


 中には、自動騎馬を操り損ねて大河「木曽川」へと沈み行く農民もいる。


 バゥ……!!


「尾張の援軍はまだであるか!!」


 それでも、沢彦達がいた事は吉法師にとって幸運であった。普段はせいぜい二、三機のAKMしか配備されていない、所詮は単なる小寺なのだ。


「まあ、しかしに……」

「くそ、尾張め!!」

「何とかなるか、俺達は……!?」


 ガ、シュ!!


 砲弾が切れたオートキャノンを機体から除装し、木曽川の中へ落としてしても、それでも吉法師の機体には未だバルカンが残っている、楽に美濃勢を撃退できる物ではないが、時間だけは何とか稼げると思った吉法師は。


「この際、攻め気で!!」


 吉法師が見るに、僧兵達や猿を始めとした農民兵の予想外の抵抗に美濃勢がその士気を乱し始めた様子だ。このまま出鼻を挫くのが吉と。


「皆、攻め立てよ!!」

「オウ!!」


 判断した吉法師の号令に、付近でバラバラに抵抗していた尾張の者達が掛け声を上げ、各々手持ちの武装を高く上げる。


 ゴゥ……


「何……!?」


 低く、大河木曽へ小さく波を立てる振動音、それに吉法師はその耳をよく澄ます。


「この音は、もしや!?」


 ズゥ、フゥ……


 美濃の国領の上空から急速接近を仕掛けてくる、巨大AKMの群影。


「SCドライブ搭載機だと!?」


 SC(茶器)ドライブ搭載機、日の本全域へ出回っているAKMなどは「目ではない」強力無比な自動騎馬武者、いや。


「茶機、か……!!」


 精神感応機能である茶器ドライブを搭載する、南蛮から伝わってきた次世代AKM。


「贋作、疑似ドライブ搭載機であれば良い、しかし!!」


 それでも、量産タイプとはいえ並みのAKMの数倍の性能を誇るのが茶機、茶道エンジンを搭載した甲冑武者なのが次世代兵器というものだ。

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戦国茶道甲冑絵巻「下天」 早起き三文 @hayaoki_sanmon

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