第9話 家族写真
夜中の24時が近づいてきた。
そろそろ準備しないと・・・
「お兄ちゃん、そろそろ・・・」
「わかっているよ」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんが買ってくれたもの・・・」
「もってていいよ」
「うん、ありがとう」
アリスは悲しそうだったが、笑みを浮かべたのを見逃さなかった。
「お兄ちゃん、見送ってくれる」
「ああ」
「じゃあ、外に出て」
星を見ながら、少しの間話した。
何を話したのかは覚えていない。
でも・・・嬉しかった・・・
しばらくすると、空から牛車が降りてきた。
「魔法使いだな。まるで・・・」
「それは馬車でしょ?お兄ちゃん」
牛車はすぐに到着した。
中から見知った懐かしい顔が出てきた。
「よっ、秋隆ひさしぶりじゃな」
「おじいちゃん」
「この子を迎えに来たんだ。アリスと名付けてくれてありがとう」
「以前は、何て呼んでたの?」
「花子じゃ」
「時代を感じるね」
「悪かったの」
久しぶりの祖父との再会に、和んでしまった。
「じゃあ、お兄ちゃん。私行くね」
「ああ、元気でな。というのも変か・・・」
「私、お兄ちゃんが優しい人でよかった。ただ夏雄お兄ちゃんは、厳しそうだけどね」
「あいつは、それなりにいとこもあるよ」
アリスは、唇を僕の頬につけた。
「お別れだね」
「うん、でも実はね」
「えっ」
アリスの次の言葉に、僕は驚愕した。
「この間言ったよね?守護霊は時々代役を頼むって」
「ああ」
「実は、私は前からその代役として、お兄ちゃんを守っていたんだよ」
「なぬ!?」
立ちつくしてしまった。
「もし、また付くときは合図をするから気付いてね」
さっきの笑みは、そういう事か・・・
こうして、アリスは祖父と一緒に、向こうへと帰って行った。
それから、数ヵ月後、家族が久しぶりに揃ったので、旅行に出かけた。
富士山へ登った。途中までだが・・・
家族写真をとることになり、集まった。
そして、出来あがった写真を見て、両親と弟は驚いていた。
「誰だろね?知らない女の子が映ってる」
「でも、こんなにはっきりと映っているのは、心霊ではないな」
「それに、笑ってるし、ほっといてもいいだろう」
「でも、どうして兄貴にべったりとしてるんだ?」
僕はその写真を見た。
そこにはアリスという名の、僕の妹が僕の腕を組み微笑んでいた。
お帰り、シスター 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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