第7話 守護霊

守護霊

その人に付き、守ってくれる霊のことだが、だいたいはご先祖様の場合が多い。

そう、だいたいは・・・


「アリス」

「何?お兄ちゃん」

「君には守護霊が見えるのか?」

「さすがに、この世界では見えないよ」

「そっか・・・」

ほっとしたような・・・残念なような・・・


「でも、お兄ちゃんについている守護霊ならわかるよ」

「だれ?」

「うーん、教えてもいいけど、あまり期待しないでね」

「わかった」

どうせ、ご先祖様っていうんだろ?


「まず、守護霊といのは、基本的には付きっきりなんだけどね」

「うん」

「守護霊だって、休みは欲しいじゃない?」

「確かに」

365日24時間付きっぱなしでは、疲れるな。


「その時は、代役を雇うんだよ。これは希望者を募集するんだけどね」

「今もそうなのか?」

「今は違うよ。いつもの人」

「誰だ?」

「まずお兄ちゃんの守護霊は、ご先祖様ではないわ」

「えっ」

驚いた。ご先祖様でないとすると、誰なんだ?


「女の人だよ。それも江戸時代の女中さん。今でいう、家政婦ね」

「女中さん?」

「うん、お兄ちゃんの女子力が高いのは、そのためだよ」

「そっか・・・」

「それも、若いよ。20代後半かな」

「そんなに若いの?」

「でも、江戸時代の平均寿命は40そこそこなので、珍しくないと思う」

ここは、喜んでいいのか?


その時、電話が鳴った。

アリスに取らせるのは、まずいだろう。

なので、僕が出た。


「もしもし、あっ母さん、どうしたの?

えっ、アリス?いるけど・・・・どうして?

えっ?父さんから聞いた?わかった」

僕はため息をつく。


「アリス」

「何?」

「お袋が話したいって、君の事を親父から聞いたらしい」

アリスは、喜んで電話に出た。


さすが母娘か、すぐに意気投合したようだ。

詳しくはわからないが、先日親父と話していたのと、ほぼ同じだろう。


ただ最後の、お袋の声は耳にとどいた。

『おばさんにも、水子の娘がいてね。もし、無事に育っていたら、

アリスちゃんみたいになってたかもね』


よくわからなかったが、アリスの眼は光っていた。


そして、別れの時が迫っていた・・・


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