第5話 ふたりの生活
「では、アリス。君に必要な物を買おうと思う」
「はい」
「では、まず生活に必要なのは、衣食住だ」
「はい」
「食と住は、既にある。なので衣を買おうと思う」
「わかった、お兄ちゃん」
そして、アリスに必要な服を買いに行くことにした。
「ねえ、お兄ちゃん。何でもいいの?」
「ああ、高過ぎなければな」
「ありがとう」
アリスは、楽しそうに服を選んでいた。
まさしく思春期の女の子のようだ。
傍から見たら、どう見えるんだろう。
「お兄ちゃん、決まったよ」
アリスは、いくつかの服を見せる。
「それだけでいいのか?」
「うん、私はあまりこの世界には、いられないので、これで十分だよ」
「そっか」
会計を済ませた。
「ところでアリス、君がこの世界にいられるのは、どのくらいだ」
「多分、一週間くらいだと思うよ。神様から連絡があると思うけど・・・」
「そっか」
少し寂しくなった。
だが、水子の魂は、天国でお地蔵様が幸せにしてくれるらしい・・・
天国では、幸せのようだ。
そうあってほしい。
「下着はどうする?」
「一週間分でいいよ」
アリスは答える。
「あっ、お兄ちゃん」
「どうした?」
「私はもう、死んでいるんだから、お医者さんの心配はないよ」
「わかった」
アリスに必要な物は全て揃えた。
本来なら死んでいるので、食べなくても支障はないらしいが、
少しでも、楽しみたいとの申し出を、神様が承諾してくれたらしい。
本やCDなどの、娯楽はいらないようだ。
ただ、テレビだけは見ていた。
「お兄ちゃん」
「どうした?」
「向こうへ帰る時は、ちゃんと言うから、安心してね」
「わかったよ」
一週間、1日過ぎたから6日か・・・
少しでも、思い出を作りたい。
帰ってきた妹と・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます