22話「キミを守るためにできること」
気がつくともう昼休みを迎えていた。俺は
「あー、めんどくせぇよなー……」
食事中、修二はダルそうな顔をして、どこか気が重そうにそう言った。
「まあ、しょうがないだろ。終わんなかったのが悪いんだし」
「それもこれもみんなお前のせいだろ!」
「いやいや、お前たちが真面目にやんなかったからだろ」
抜け出した人数より残ってた人数の方が圧倒的に多いのだから、ちゃんとやらなかった男子たちに非があるだろう。もっとも『質』という面ではあきらかにこっちに非があるのは承知しているけれど。
「だってさ、いいんちょがいないし、ちょっとぐらいいいかなって」
「はぁー……」
俺はそんな幼稚園児みたいな修二に呆れながらも、さっさと昼飯を食べることにした。こんなにも急かせされる昼飯もそうそうないだろう。ただ限られた時間でちょっとでも作業の時間を増やすにはこれしかなかった。なので俺たちはさっさと昼食を食べ終え、いよいよクリパの準備に取り掛かる。修二の方も
「煉くーん!」
だが意外にも、そのクラスメイトは俺を呼んだのだ。どうやらその生徒会の人は俺に用事があるみたいだ。俺は一応委員長に一言告げ、了承を得てから教室を後にした。
「……何か用?」
俺はこいつにあまりいい印象がないので、ちょっと
「ええ、ちょっとお話したいことが。ここじゃアレなんで中庭にでも行きませんか?」
「ああ、いいよ」
そういって、俺たちは中庭へ向かった。向かう間は全く会話が無く、はたから見るとおかしな2人だった。そして中庭に着くと、
「あのー、ちょっと頼みごとがあるんですが」
と話しを始める。なんとなくその『頼みごと』とやらが容易に想像できてしまう自分がいた。朝の言動、こいつの立場、そしてそこに居合わせていた俺。それらを考慮に入れれば、すぐに答えが見えてくる。
「頼みごと?」
「ええ、汐月さんをミスコンに出るよう促してもらえないでしょうか?」
「はぁー……」
『呆れて物が言えない』とはまさにこのことだ。思わず大きなため息をついてしまう。ホントただひたすらにこいつに呆れていた。
「お願いできませんかね?」
「お前さ、無理強いはしないとか言ってたよな」
「でも今回のミスコンはスゴイんですって!」
「どこが?」
実際、俺は行ったことがないのであまり興味はない。例年のミスコンがどんなだったかなんて知らないし、今年のミスコンの出場者も知らない。だからどこがどうスゴイのか、全くわからなかった。
「出場者の殆どがファンクラブがあるか、それに等しいぐらいの人たちばかりなんですよ!」
ということは、汐月を除いて有名なファンクラブというと、生徒会の3人と、後は渚ぐらいか。自分たちが主催しているイベントに、自分で参加する3人たちって。まあ大方、凛先輩の押しによるものなんだろうけど。後は渚か、あいつは出ないだろうなー興味なさそうだし。
「つーか、それだったら余計に汐月が出る必要ねぇーじゃん」
もうそれだけ揃っていれば、十分だろう。例年がどうだったかなんて知らないが、今年はそれだけで最低限、白熱した争いができるんだから。わざわざ汐月の出る幕じゃないだろう。
「いや、あの学園のアイドルがミスコンにでたらさらに面白くなるじゃないですか!!」
「……自己満足じゃねーか。あのな、汐月はお前たちのおもちゃじゃねーんだぞ?」
こいつの発言に、俺は一発ぐらいぶん殴ってやろうかと思ったが、そこはグッと堪える。結局は自己満足。自分の望む形にして、それを見たいだけ。そんな理由で振り回される汐月の身にもなってみろってんだ。でも、それでも汐月に
「や、僕はただクリパを盛り上げようと……」
「お前さ、汐月のこと好きだろ」
「えっ!? そっ、そんなこと、あっ、ありませんよ!!」
図星だったのか、彼はあからさまな動揺をしながら必死でそれを否定する。何を想像したのか、顔を赤くしやがって。そりゃ『学園のアイドル』だけあるし、ルックスも文学少女っぽくて好きな人は好きだろう。仮に惚れていたとしても、何らおかしくはない。
「はぁー……わーったよ、俺が説得する」
もう面倒なので、その頼みを受け入れることにした。もちろん無償でとは言っていない。当然、こちらが有利になる条件をつけてやる。
「ホントですか!?」
その俺の言葉に、前のめりになってキラキラした目でそう言ってくる。よっぽど彼女が壇上に立つ姿が見たいんだろう。そんな感じが伝わってくる。
「ただし、条件がある」
「条件?」
俺が彼に提示した案は『今後一切、汐月にミスコンの出場を促さない』ことだ。もちろん破った場合は『明日美に言いつける』ということにした。こいつもいくらなんでも生徒会長には手も足も出まい。その案に、彼は少し
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