獣人族は人間を怒らせない そのいち


 グランベルクで最も高級な石材と聞いた時、マッサ石と答える者は少なくないだろう。

 純白の中に閉じ込められた、他に目にすることも難しい深い青色の波。磨けば磨くほどに光沢を放つ奇跡の石。


 だが、そんな石材を生み出すマッサ村には。



 石造りの家が無い。



 急峻を駆け下りた三筋の川が落ち合う麓の平原は、語るべき特産も無い貧乏な土地だった。

 そんな獣人達の村へ富を運んだのは一人の若い人間族の男。若者は鉄の工具で裏山から石を切り出すと、隣町へ売って大金に変え、その術を獣人達へ教えたのだ。


 最初は半信半疑だった獣人達も、実際に石が高値で売れることを知ると、我先にと石を切り出し、瞬く間に村は大金持ちになった。

 誰もが石造りの御殿に住み、我が世の春を謳歌した獣人族。だが、彼らには一つだけ気に入らないことがあった。


 それは売上の一部を召し上げて、自分達よりも豪勢な屋敷に住む、あの若者の事だった。


 若者は村に近い採石所を封鎖して、わざわざ村から離れた辺りで掘るよう指示を出したり。そのくせ自分は仕事もしないのに金をせしめ続けたり。

 そんな目の上のこぶに、村人たちの不満は募るばかりだった。


 そして若者が、さらに遠くへ採石所を移すよう命令した運命の朝。

 ついに獣人達は結託して、若者を村から追放してしまったのだ。


 獣人達は村の一番近く、封鎖された採石所へと殺到した。売上を掠め取られることも無くなり、天下を取った心地となった。

 だが、夢のひと時が明くることは無かった。


 夜も半ば、山は咆哮をあげてその身を崩し、村の半分は山から流れ落ちた土砂に飲み込まれてしまったのだ。


 獣人達は石壁を作り、さらなる被害をなんとか食い止めることには成功したが、それ以来採石はぴたりと辞めて、日に日に堆積する土砂を石壁の向こうに眺めつつ、怯えて暮らすことしかできなくなったのだ。


 だから、ここの住人たちは石を見ると、壁に積み上げるようになった。



 ……これが、マッサ村に石造りの家が無いゆえんである。



 マッサ村視察計画書 序文

 三つ口かまど座の月 火の二日

 アイシャ・デ・コンツォ・ブルタニス

 ここに記す




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ~第一章~ 獣人族は人間を怒らせない




 木造のボロ屋敷ばかりが建ち並ぶ村。

 こんな所に、いい女なんかいるはずがねえ。


 村の外に広がる麦畑で働く獣人達の中に幾人か女を見かけたがまるでダメ。

 王都で見かける獣人達の妖艶さとは程遠い。


 地には黄金色の麦。見上げれば、奇跡の石を生み出すことで有名なアスール山。

 青い空を真っ二つに割る急峻という物珍しい景観も、こうさびれていちゃあ台無しってもんだ。


 女に期待が持てねえ以上せめて食いもんくらいはと寄ってみた食堂も期待薄。

 店の前に野良グリフォンが寝ころんでいてもほったらかしだし。片面の壁がぶっ壊れたまんまだし。


 店主もこんな貧乏村からおさらばしたくて壁の大穴から眺めてんのかな。遠くハイデルの町の物見やぐらから矢を射かけられたワイバーンが、すごすご帰っていく様が良く見えやがる。


 村の入り口にぽつんと建つボロ食堂。砂まみれの床と足の長さの揃っていない椅子、そしてやたらと腰の低い猫系獣人族の店主が、長旅で疲れ切った俺たちを出迎えてくれた。


「いやいやいやいや! 人間族のお客様がこちらへいらっしゃるなんて! お口に合わないかもしれませんが頑張って料理をお出ししますんで、せいぜいたんまり金を置いて行ってくださいませ!」

「清々しいほど正直だなあんた。気に入った」


 俺が呆れながら椅子の背もたれを鳴らすと、正面に腰かけた連れが、このへらへらと笑う悪徳店主に対して慇懃に頭を下げた。


「随分と腰の低い店主様ですね。いくらグランベルクの支配者が人間族とは言いましても、そこまで両手を揉み揉みされると超居心地が悪うございます」

「いえいえ! 支配階級とかそんなこたどうでも良くて! 人間族のお客様がご来店あそばすと料金の三倍吹っかけても払ってくださいやがるから向こう一週間は寝て暮らせるんでさ!」

「すげえぞアイシャ。この店主から、ウソつくくらいなら餓死した方がましだってほどの気概を感じる」


 ぼったくりを明言した店主に青筋の浮いた顔を向けた我が連れは、それでも空腹に耐えかねたのか三皿も注文した。

 そして笑いとよだれが止まらなくなった店主が俺の方を向いたんだが……。


「で? 旦那の方はなに作りやしょ!」

「塩パスタ」

「……………………は?」

「具も味もいらねえ。塩茹でしたパスタをそのまんま出せ。金はこれしかねえ」


 俺がテーブルに銅貨を三枚放り投げると、こいつはでかでかと舌打ちした後、アイシャにだけお辞儀をして厨房に引っ込みやがった。


「ほんと。よく客商売できるな、あいつ」

「あのさあ、ガルフ。恥ずかしい真似するくらいなら、すきっ腹抱えて死んでくんない?」

「そうよだな。てめえくらい外面良くしねえと客商売なんかできねえよな」

「誰が外面良いってのよ! あんた、あたしの事なんだと思ってんの!?」

「外面ばっかの粗忽そこつ女」


 俺が思ったままの事を口にしたら、こいつ、怒りに任せてテーブルを思いっきり叩きつけやがった。


 なあ、アイシャ。

 今、天板が一本足を支点にてめえの側に倒れたせいで、俺の顎を突き上げたんだけどさ。

 粗忽じゃねえって言うなら、この蛮行を謝ってみねえか?


 そんな思いを視線に込めて、傷むあごをさすりながらにらみつけると。

 この粗忽女は類まれな美貌を憎らしいほどにゆがめてそっぽを向いた。



 ……王都からの長旅でイライラしてるわけじゃねえ。

 こいつはもともとこういう奴だ。

 手入れさえすれば美しいと思われる豪奢な金髪を、頭の後ろで一つ結わえてぼさぼさのまま垂らし。外面モードの時にはぱっちりと見開く魅惑の瞳が俺の方を向くと半分閉じる。

 すらりと伸びた手足も旅慣れたおかげで薄汚れて、露出たっぷり目な最新モードの服もところどころ破けたまま。最高の素材を、まるでこの店の親父が料理しちまったような女。

 それがアイシャだ。


 そんな外面女の真骨頂。

 今までの仏頂面が、コップに水を入れて持って来た店主に気付いた途端ニコニコし始める。

 未だに慣れねえリバーシブルっぷりにも呆れるが、それより俺には水がねえってのはどういう了見だ?


「こんな砂場みてえなとこ歩いて来たんだ。それ寄こせよ。口ん中ザラザラだよ」

「なによ。この水はあたしのよ。そんな、捨てられたミノタウロスみたいな顔してたってあげないわよ?」

「どんな顔だよ。そもそも、そこまでの大物魔獣飼えるかバカ女」

「黙れ。その口閉じなさい。そうすりゃ砂だって入って来なわぷっ!」


 うわ。入り口から大量の砂が吹き込んできやがった。外にいた野良グリフォンが砂浴び始めたらしい。


「その口閉じてりゃ砂も入らなかったろうに」


 せっかくの水が台無しになったことに腹を立てたアイシャが外に向けてにらみを利かせてるが、やめとけよ。

 あいつら大人しくなったとはいえ、ひいじいさん達の生きてた頃にゃ、人間族食ってたんだからよ。


「もーっ! この村の酷さは世界一! 髪も水も口ん中も砂まみれよ! こんな村だから若い子達が一斉に出て行ったんじゃないの!?」

「こら。声でけえんだよ粗忽女」


 まだ調査前。

 細けえことなんにも分かってねえんだから、滅多なこと言うんじゃねえ。


「でも女の子はいたぜ、麦畑に」

「あんた、また女の子をいやらしい目で見てたんじゃないでしょうね……」


 いつもの半目が、いつもより冷てえ。

 男の子をそんな目で見るんじゃねえよ。


「それより、年寄り連中が拝むみてえに手を合わせてるのが気持ち悪かった」

「ああ、そりゃあれじゃない? 人間族の若者を追い出したせいで山が崩れて来た昔話を知ってる世代なんじゃないかな。現に、若い人達はそんなことしなかったじゃない」


 仏頂面で席を立って、砂埃を払い始めたアイシャがそんな話を始めると、急に笑顔を浮かべてとんでもないことを言い出した。


「そうか、良い事思い付いたわよ、ガルフ! あんたの名前で、このひどい村を壊滅させちゃえばいいのよ!」

「この村をまくって、ひでえの一等賞はお前だお前」


 なんて八つ当たりだよ。


「そしたら極悪グランベルク家は国民に見放されて失脚! 一家揃って火あぶり! 見事に復讐を果たしたあたしは、民衆からの熱い支持を受けてこの国のトップへ返り咲くの! 良くない?」

「火、ちょっと遠いあたりで焚いてくれ。最近暑いから」

「ようし! そしたらとっとと村長のとこ行って調査したら帰るわよ! どうやってこの村ぶっ潰すか考えなきゃ!」

「とっとと帰るのには賛成だ。こんな村にいい女なんかいるわきゃねえし」


 俺が任務なんかより遥かに重要な話をしたってのに、アイシャの目が八割方閉じちまった。

 便利だな、その目。

 てめえの機嫌がよく分かる。


「またそんな最低なこと言って。なまっちろいガキみたいな顔してるくせに背伸びしてんじゃねーわよ。三回殺すわよ?」

「顔は関係ねえだろ。それに、俺の夢についてとやかく言われたか無いね。てめえがどう言おうと、俺はハーレムを作るんだ」

「ひとまず一回目。今すぐ死ね!」

「うるせえぞ、ハーレムっ第一号」

「誰が入るかそんなもの! 百回死ね! いいやこの場であたしが殺してやる!」


 いきり立って左腿に提げた剣の柄を掴んだアイシャが、下着丸出しでテーブルに右足をかける。すると一本足を支点にして天板が完全にもげて、アイシャの顔面を強打した。


 ざまあねえ。

 それよりここの親父、テーブル代としていくら吹っ掛けてくんだろうな。


 そんなことを考えながらのんきに笑ってたんだが、一瞬にして楽しい気分が台無しにされちまった。


 音もねえような寂れた村に似つかわしくない人間族の荒くれどもが、ドアを蹴破って店の中にズカズカ入ってくると、腰から錆びた剣を抜き放った。

 盗賊、追剥ぎ、山賊。どれだっていい。そういった連中って訳だ。

 こうも連日来やがると面倒だが。まあ、いっちょ相手してやるか。


 ……俺はいつものように。

 両手を上げて降参した。


「ここに王族の男が入ったって聞いたぜ! どいつだ! みぐるみ剥いでやる!」

「王族って言ったら、たんまり持ってやがるんだろ? 兄貴!」

「兄貴兄貴! 探してるの、両手あげてるこいつじゃねえのか? きたねえけど上等な服着てやがるし。女みてえに細いし」

「おうコラ! てめえが王族か? 有り金全部出しやがれ!」


 そんな剣なんか向けなくても、抵抗する気ねえっての。


「俺から金を盗って、それをどうする気だ?」

「若造、てめえが王族か! てめえらの圧政に苦しんでる連中がどれだけいると思う? そいつらに返してやるのさ! 俺たちゃ義賊、バルバーツ党だ!」


 髭面の兄貴分の長広舌に、おおと応えるおっさん達。

 でもさ、あんたら目が正義に燃えてねえんだよ。いったい何割ピンハネする気だったんだ?


 まったく、バルバーツ党も大所帯になったもんだ。こんな連中と会ったことねえっての。

 それに教育が行き届いてねえ。これじゃただの山賊だ。

 今度エクスボルトに会った時、問いただしてやる。


「さあ小僧! 金を出せ!」

「有り金なら、全部床に散らばっちまったが」


 俺が包み隠さず指差す先には、床に散らばる三枚の銅貨。

 十人程の暴漢がそれを眺めて、次に俺の顔を見て。そして再び床の銅貨を見つめたまま固まっちまったんで、仕方なく事情を説明した。


「俺に金持たすとすぐくだらねえことに使っちまうからって、国は旅費すらまともに出してくれねえんだよ。だってのに昨日もお前らの仲間に襲われて、虎の子の銀貨二枚をむしられた」

「じゃあてめえ、宿はどうしてたんだよ」

「野宿に決まってんだろ」


 ざわつくおっさん達。

 ああやべえ。

 このパターンはやべえ。


 いつものお約束へ一直線ってやつだ。


「王族で、その扱い。ってことはてめえ、まさか、第三王子のガルフォンスか!」

「……そうだよ」


 渋々頷くと、おっさん達は口を揃えて、グランベルク全土に広まった俺の悪名を叫んだ。


「「「国士無双こくしむそうのバカ王子!!!」」」

「って思ってたらなんだよ、ただのバカ王子じゃねえのかよ。初めて聞いたぜその通り名」


 それにしちゃ同時に叫んでたけどさ。

 俺の通り名はあれか? 全国民が毎日どこかに集まって、その日の気分で決めてるのか?


 当てが外れて、盛大なため息をついたおっさん達が剣の切っ先を床に落としてうな垂れてっけど。


「残念だったな、俺で。……じゃあ、義賊の義務を果たしてもらおうか? 俺は連日夜盗に襲われて有り金全部盗られた成人前の憐れな男なんだが?」


 心の底から湧き出た嫌味顔で手の平を差し出したら、兄貴分の髭面がしぶしぶ前に出て、銀貨を二枚乗せてくれた。


「助かった。これで帰りは木銭宿なら泊まれる。もう野犬集めて布団にする必要もねえ」

「やめてあげて!? 他になんかあんだろ!」

「あいつら、ござよりあったけえんだもん。それにござは初日に盗られた」


 一同、目頭を押さえて涙ぐむ。

 三枚目ゲット。


「ちょっとガルフ! 盗賊から恵んでもらってんじゃないわよ!」

「いいだろうが。こいつら、ひでえ目に遭ったやつを助ける義賊なんだから」


 銀貨を手の平でちゃらちゃらといじりながらうるせえ女の相手をしてたら、髭面の兄貴分がいまさらアイシャの美貌に目を丸くさせて、近寄って行った。


 俺も大概面倒だがそいつに関わるのはやめといた方がいいと思うぜ? 怪我するくれえじゃ済まねえから。

 ……最悪、地図が書き換わるようなことになるから。


「てめえは何だ?」

「あたしはこの甲斐性無しのメイドよ」

「メイドぉ?」


 そんな返事を聞いて、おっさんはじろじろと舐めまわすようにアイシャの体を見始める。

 履いてるんだ履いていないんだか分からねえほど短い、赤いスカートから伸びるカモシカのような足。スカートより裾の長い白いコート風の外套を幅のあるベルトで留めて、胸の辺りだけを覆うインナーを覗かせている。

 そして最後に、おっさんが口をぽかんと開けたまま目を釘づけにされているのはその美貌。十六歳にしてこの色気。分かるか? 分かったんなら、そんなにじろじろ見てるんじゃねえ。減るから。


 髭面兄貴と同じ動きを子分共がぴったり真似して、みんなして口をぽかんと開けたまま声もあげずにアイシャを見てやがるが、そんな中で一人だけ声を出すことが出来たヤツが、大胆な事を言い出した。


「あ……、兄貴。……バカ王子から、こいつをいただくってのは?」


 一同揃って、そんな発言をしたおっさんの方を向いて目を見開いて。そして再びアイシャに向き直ってごくりと喉を鳴らす。


「おいお前。バカ王子って呼ぶんじゃねえよ」

「うるせえ貴様は黙ってろ!」

「あんたらどういうつもり? さっきからじろじろ見られてすっげえ気持ち悪いんですけど」

「こ、これは失礼しました! おいてめえら、じろじろ見ちゃ失礼だろうが! そっと見ろ、そーっと!」

「お前ら義賊だろ? 人さらいとかやっちゃダメなんじゃね?」

「うるせえ! バカ王子がこんな美人のメイド従えてるとか、国民から巻き上げた金でなんて羨ましいことしてやがる! 次は俺の番だ!」


 この扱いの差な。

 人間、見た目がどんだけ大事か。骨身に染みるぜ。


「そういう訳ですのでお嬢さん! 我々について来ていただいて、いろいろご奉仕していただけないでしょうか!」

「はぁ? ふざけんじゃないわよ! 高貴なあたしになにさせようってのよ!」

「な、なにって、そりゃおめえ……」


 なあおっさん。モジモジしながらアイシャの足を見てるんなら気付けよ。

 怒り心頭に達したこいつが鞘から引き抜いてんじゃねえか。左腿に巻いてる二本の革ベルトに提げたごつい剣。


「く、口に出すのも恥ずかしいが……、ひ、膝枕してください!」

「健全か!」


 すぐそばで椅子に座ったままの俺の頭をかすめて、やたらと装飾だらけの幅広剣がおっさんを横薙ぎにすると。


「ありがとうございまああああああ!!!」


 心からの感謝を残しながら、店の外まで吹っ飛ばされていっちまった。


「うわああ! 兄貴ーーーーー!!!」

「このアマ! 兄貴に何てことしやがる!」

「膝枕ぐれえいいじゃねえか! 兄貴はなあ、三十年間彼女いねえんだぞ!?」

「どいつもこいつもうるさい! ガルフもなんとか言ってやんなさいよ!」

「ああ、膝枕は憧れだ。俺も彼女できたことねえから痛いほど気持ちが分かる」

「お前も吹っ飛べ!」

「ごはっ!?」


 日に何度か食らうこいつのフルスイング。

 椅子ごと吹き飛ばされたのは初めてかな。


 勢いよくドアから射出された俺は、目の前で大あくびしていた野良グリフォンの口に頭から突っ込むと、一度ずるっと飲み込まれた後、よほどまずかったんだろうな、勢いよく吐き出されて店の中へ帰って来た。


「うおおおおお!!! さ、さすがに今のはビビった! そして体中いてえ!」

「ちっ! 惜しい。そしてあんた、臭い」

「文句なら歯磨きもろくにしやがらねえ鳥野郎に言え! きっとあいつも、あんな口臭じゃ彼女いねえんだぜ?」

『クケーーーーーーーーーッッッッ!!!』

「うわ。怒りやがった。…………おい。待て待て待て待て! こっちに来るんじゃねえ!」



 ……悪口ってヤツは、他を貶めることで自分の地位を高める効果がある。

 時と場合によっては効果的だが、自分の価値を下げながら振るう諸刃の剣だってことを理解して使え。


 そいつを教えてくれたのは親父だった。

 確かにそうだ。諸刃の剣だ。

 そして、まただ。アイシャといると必ずこうなる。


 ……ハイデルの町から伸びる街道沿いにある名もない食堂。そいつが今日、怒り狂ったグリフォンの突撃のせいで。



 マッサ村の地図から姿を消した。


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