第2話 犬橋
途方にくれたまま席にボーっと座って10分くらい経っただろうか。
これからどうしよう。次の駅で降りて折り返しの列車を待とうか、でもそもそも折り返しがいつ来るかも分からないよな。てか運賃いくらなんだろう。アプリで列車の情報を探しても特急列車222号猫街行きなんて出てこないぞ。そんな事を考えるが酔いのせいでどうも思考がまとまらない。
それに、どう見ても窓の外の風景がおかしい。ここ本当に日本か?ウサギの顔の形をした木が耳をパタパタしてたり、帽子を被ったクラゲみたいのがふよふよ浮いてて目があったら会釈してきたり。思わず会釈し返してしまった。酔って幻覚をみたのなんて始めてだ。もう酒は飲めないな...。
またアナウンスが流れ始める。
「間も無く犬橋に着きます。お降りの際は乗車券をお持ちになっているか確認なさって下さい。間も無く犬橋です。」
犬橋、か。これも聞いたことない名前だな。なんなんだろうこの列車...。
プシューッと扉が開いた。乗ってきたのはただ一人。
いや、正確には1匹だった。
乗ってきたのは、郵便局員の格好をした芝犬。しかも二足歩行。
「おやおや、人間じゃないですか。珍しいですねえ。僕と同じオスですかね?オス同士仲良くしましょうよ。」
そう言って芝犬がはははっと笑った。
犬が笑った。いやいや喋っただけでおかしいって。なんで二足歩行してるんだよ。なんで郵便局員の格好?...
?の嵐のせいで僕は降りるのを忘れた。再び列車は動き始めた
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