85話「バレンタインデー」

 2月13日。

 私は学校帰りいつも玲央君と一緒に帰っているけど今日は1人で帰ってる。

 理由は簡単。明日がバレンタインデーだから⋯。

 チョコをあげるのなんて小学生以来だから緊張してる。市販の物を買うか、手作りか迷ったけど手作りにすることにした。


「うーん苦いのよりは甘いのが好きらしいから、簡単なのにしようかな」


 帰り道、チョコと生クリーム、ココアを買い、家に帰る。

 作るのは生チョコだ。

 まずは初めにチョコを細かく刻んでボウルに入れる。生クリームを鍋に入れ、中火にかけ沸騰直前まで温める。刻んだチョコレートを入れたボウルに一気に注ぎ、湯気が出なくなるまで待ち、チョコレートが完全に溶けてなめらかなクリーム状になるまで混ぜる。

 オーブンシートを敷いた器に入れて冷やす。

 固まるまで待ち。冷蔵庫からだし器から取り出す。オーブンシートを外して、温めた包丁で切り取る。


 最後にココアを振ってラッピングして生チョコの完成。


 明日のバレンタインは問題なく渡せそうだ。



 次の日。

 玲央君と学校に行く前にバレンタインチョコを上げることにした。


「玲央君、これ」


「ああ、チョコか、ありがとう」


「これで1番だよね?」


「うん、そうだよ」


 よし、学校行ったらほかの女子からも貰いそうだもん。一番乗りは私じゃないとね。


 学校に着き、クラスに入ると男子数人が机の中を漁ってたり、机に突っ伏して絶望そうな顔してたりしてた。女子は普通だね。

 席につき、1時間目の準備をしていると、涼子ちゃんがやってきた。


「相澤、これチョコや、やる」


「あ、ありがと」


 涼子ちゃんから貰ったのはチョコだけど、チロルチョコって⋯⋯袋詰めならまだしも1つとは、可哀想に、涼子ちゃんはこっちみてピースして席に戻った。

 まぁ私の事考えてくれたってことかな?別にもう渡したから大丈夫だけどね。


 玲央君はその他に、佐宮さんやその友達などからも貰っていた。ちょっと嫉妬してしまう。この前の遊園地も楽しかったんだろうな。今度私もどこかに連れてってもらおうかな。


 うん、それがいい。

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