第20話「ゴールデンウィーク」
今日からGWだ。
僕は電車に揺られ、実家に帰っている最中だ。
「まぁ、実家といってもそこまで遠いわけじゃないからいいけどね」
なんせ実家は僕の家から3駅先だ。時間にして1時間くらいで着くと思う。
だからそこまで重たい荷物もいらないし、実家にも僕の部屋はまだあるので問題ない。
「そういえば、姉さんに会うのも久しぶり・・・」
姉さんと最後に会ったのは春休み、部屋の片付けをしている時に手伝いに来てくれた。
姉さんは昔から面倒みがよかった。僕が小学生の時にショッピングモールで迷子になった時に1番先に見つけてくれたのは姉さんだった。僕の行きそうなところを順番に探し回ってくれたらしい。歳も一つしか違わないのに姉さんはたくさん面倒を見てくれた。
そんな昔のことを思い出していると、目的地に着いた。
駅から実家までは徒歩30分、結構長い、まぁ歩いて帰るけど。
30分かけてやっと実家に辿り着いた。家からここまで1時間半くらい。他の人達の帰省よりはとても楽な距離だと思う。
「ただいまーー」
声が聞こえたのか、リビングのドアから姉が顔を出してきた。
「あ、玲央おかえりーー」
「姉さん、母さんとかは?」
「今、買い物に出ていったよ」
「そっか」
「玲央、お昼まだでしょ?これから作るけど食べるよね?」
たしかにもう11時半だ、お昼も食べてないのでお願いしよ。
「うん、ありがとう」
「大丈夫、いつもに戻っただけだから」
姉さんは前から家で料理を作ってくれていた。だからいまさら1人増えたくらいでは問題ないという事だろう。僕も久しぶりに姉さんのご飯が食べられるから楽しみだ。
「玲央ーー」
「なに?」
「皿出して」
「はいよ」
「ありがと」
姉さんが料理を作り、僕が皿を出す。ずっと前からやっていたことだ。僕が家に戻ってくればこの形式は変わらず続く。やっぱり我が家は落ち着くな。
二人分の支度が終わり。お昼だ。
「玲央、友達は増えた?」
「・・・一応、多分友達」
「多分って何よ」
「友達なのかどうかわからない、ここ最近結構話したりしてるけど」
「なら友達でしょ、よかったじゃん、大樹だけだなんて心配だったからさ」
まぁたしかに昔から大樹だけだったので姉さんからしたら僕が新しく友達を作れたとわかり嬉しいのだろう。
「まぁ、たしかに話し相手が増えたのよかったけど、その2人が人気者でね、みんなからの視線がたくさん向いてちょっと疲れるよ」
「そうなんだ。ん?男子の人気者なんて2学年にいたっけ?」
「男子じゃないよ、女子だよ」
「え?玲央が女子の友達を作った?」
なんかすごいものを見た的な顔してるけど。まぁ僕だもん、普通驚かれるよね。
「え?女子・・・なの?それで人気者ってもしかして・・・」
「うん、2人のうち1人は麻那辺さんだよ?」
「ええぇぇ!なんでそんなすごい人と友達に!?」
すごい驚きようだ、たしかに普通に考えれば、絶対ありえない組み合わせだもんな。
「席が隣になって、話しかけられて、なった?」
「あっさりしてるねー、それでもう1人は?」
「えっと長嶺さんっていうギャルっぽい人、こっちには何故か告白までされた」
「え!?告白!!?凄いじゃない!玲央は付き合ってる人いないから超ラッキーじゃない」
「まぁね、たしかに告白されたけど、理由が面白そうだからなんだよ?」
「え?んーでも告白されたんでしょ?」
「好きとかは言われてないからどうなんだろ、まぁまだなんも知らないと思うからこれから1年かけて落とすとか言われたけどね」
「なにそれー超一途な子じゃん、もう付き合っちゃいなよ」
たしかに一途なのかもしれない、でもそれだけで決めるのは恋愛未経験者の僕からしたらとても怖い。
「それはまだだと思う。僕は長嶺さんとまともに話したのは1ヶ月だよ、流石にわからないことが多すぎるよ」
「そっか、まぁ玲央の恋愛だからね、私は口出しはしないよ。そして反対もしない。玲央の選んだ人ならちゃんとした人だと思うからね」
「ありがとう、頑張るよ」
姉さんはいつでも僕のことを心配してくれるし、信じてくれる。
だから僕もちゃんとした恋愛をしないとって思ってしまう。
「そういえば、玲央はいつまで家にいる?」
「2日か3日くらいはいようかなって思ってる」
「わかった、それじゃ母さんに食料品増やしてもらわないとね・・・・・・あ、もしもし、母さん。今玲央が帰ってきて、3日くらい家にいるらしいから食材いつもより多めでお願い・・・うん、わかった」
「玲央、布団干しときなだって」
「わかった」
そして僕は自室に行き、布団を干す。ついでにホコリっぽいので掃除機をかける。それから30分くらい掃除をした。
リビングに戻ると姉さんが片付けをしていた。
「手伝うよ」
「ありがと、と言ってももうほとんど終わってるから、そこにあるゴミ出してきてくれればいいよ」
「わかった」
ゴミを捨て、家に戻るとお茶まで出ていた。
「ありがとう、姉さん」
「くつろいでていいから、私は部屋にいるから」
「わかった」
僕はその言葉に甘え、帰省1日目はゴロゴロして終わった。
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