第12話「遊び」
あれから長嶺さんがまた席に来て待ち合わせ場所と時間を伝えて戻って行った。
今日は土曜日、長嶺さんに付き合うハメになって待ち合わせの駅前広場に来た。今の時刻は10時5分前、待ち合わせは10時なのでまだ時間はある。・・・と思ってたんだけど、待ち合わせ場所に来てみれば二人とももう待っていた。
「もーおそいよー!」
麻那辺さんはロングスカートにブラウスという落ち着いた服装だ。
長嶺さんはショートパンツにパーカーという露出が少し多めで目の保養・・・いや毒になる。
「まったく、待ち合わせにはもっと早く来るんだよ」
「すいません」
「じゃあ行こか」
「今日はどこに行くんですか?」
「私も知らない、ねぇ長嶺さんどこ行くの?」
「秘密や、とりあえず付いてき」
どこ行くんだろ、僕にはついていくことしか出来ないからついて行くけど。
----------------------------------------------------------
あれから長嶺さんはフラフラとあっちの店やこっちの店に入ったりしながら進んでいる。麻那辺さんもそれに混じって楽しくやっている様子だった。
僕?僕はよくわからないから店にも入らず後ろを付いて歩いただけだ。周りからしてみれば不審者に思われていたのかもしれない。ちょっと考えて行動すればよかったかな。でも女の子の買い物は眺めて試着して、それを買うのかと思えばそのまま次の店に行ったりと不思議なのだ。だからどうすればいいのかも分からずついて行くことしか出来ない。
そんなこんなで2時間後、やってきたのはハウンドワン。
「今日はここで遊ぼか」
「おおーー!初めて来たー!」
「何やるんですか?」
「とりあえずボウリングでもしよか」
「おーー!」
最初はボウリングだ。特にハンデはなしで2試合くらいやることになった。
「よーし頑張るよー!」
麻那辺さんは初挑戦らしく最初はガーターばっかりだった。
逆に長嶺さんは結構やっているのか、そこそこうまかった。
次は僕の番だ。
「さてさて相澤はどんなもんかな?」
「相澤君頑張れー」
まぁ期待に応えられるように頑張ろう、そうして僕は一投目を投げる。投げられた球はそのまま真ん中のピンを打ち抜き全て倒した。ストライクだ。
「おおっ!凄いな、まぐれかー?」
「すごーい、相澤君!」
「あ、ありがとう」
そうしてゲームはどんどん進んで行った。
麻那辺さんは流石スポーツ万能なだけあって直ぐにコツを掴み、点を稼いでいた。
長嶺さんはストライクやスペアをたくさん取っている。点数も結構高い、一般女子の中なら普通に凄い部類に入ると思う。
僕はストライクを3連続で決めたくらいで他は1ピン残りだった。流石に長嶺さんには、勝てそうにない。
「いや〜まさか相澤がここまで上手いとは思わなかったな」
「相澤君はボウリング得意なの?」
「いや、そんなに得意という訳では無いよ」
「これは面白いもんが見れるかもな、次のゲームやりに行こか」
「おー!次は何やるの?」
「せやな、次はテニスでもやってみよか」
「テニスなら私も学校でやったことあるからできるよ」
「僕も出来るので大丈夫ですよ」
それから場所を移し、テニスの準備をする。麻那辺さんも流石にスポーツウェアを借りたらしい。まぁスカートでテニスは危ないからな。
「じゃあ今度は相澤とウチが先にやろか」
「よろしくお願いします」
「よろしゅうな」
試合が始まった。流石長嶺さん普通にうまかった。取りに行くのがやっとだ。全然点が取れずにそのままストレート負けしてしまった。
「いや〜相澤も上手いね、結構きつい球も拾ってたし、やっぱり運動神経いいんやね」
「いえ、長嶺さんの方こそ凄かったですよ、1本も決めることができませんでしたから」
「二人とも凄いね〜、次は私だよ〜」
「僕は疲れたので長嶺さんどうぞ」
「ええーっ!ウチも疲れたよ!」
そんなことを言いながらも、コートに戻って行く。
まぁ結果は言わずもがな、疲れた長嶺さんが体力MAXの麻那辺さんには勝てなかった。
それからしばらく遊んでから広場に戻ってきた。
「いや〜とても楽しかったわ、相澤の意外な1面も見れたしな」
「楽しかった〜、相澤君凄かったよ!」
「ありがとうございます。そうですね、楽しかったです」
「今日はありがとな」
「いえ、それよりもこの前のことは秘密にしといて貰えますか?」
「せやな、面白くしてもろたし秘密にしとくわ」
「「ありがとう!(ございます)」」
「話変わるんやけど、相澤もう相方はいるんか?」
「え?いや、いませんけど・・・」
「なるほどな、ウチもいないんやわ」
「は、はぁ・・・」
「そこでな、ウチはアンタのこと気に入ったからウチと付き合わへんか?」
「え!?なんでいきなりそんなことを・・・」
「せやから気に入ったから言うてるやろ、ウチは面白い人間が好きやねん、だからや!」
「そ、そんな事言われてもいきなり答えられません」
「せやろな、ウチのこともそんな知らんやろし、てことで1年間ウチはアンタにアピールをする、それで1年経った時答えを聞こか、ちなみに拒否権はない」
「ええー!そ、そんな事急に言われても・・・」
「ほなウチは帰るわ、麻那辺さんはちょいとついてきてくれへんか?」
「え?あ、うん・・・相澤君またね!」
「あ、うん、また」
僕はいきなりの告白?めいたことに頭はいっぱいいっぱいだ。拒否権はないらしいから覚悟を決めるしかないのか、1年あるし、しっかり長嶺さんのことを知ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます