第4話「放課後に」

 お昼が終わってからは特に何事もなく時間が過ぎていった。麻那辺さんも午後は他の友達と話していたので話すことは無かった。

 今は放課後。僕は部活動には入っていないので今日は本屋によって帰ろうと思い学校を出た。


 駅前の本屋に着き見て回っていると新作の本を見つけ、手に取ろうと手を伸ばすと何故か同じ本を取る手が2つあった。ひとつは僕の手だ、もうひとつの手は?


「ごめんなさい」


 考えていると声とともに手が引っ込んでいった。声のした方に目を向けてみれば、眼鏡をかけたポニテの女子がいた。


「いえ、こちらこそごめんなさい」

「もしかして、この本買おうとしてましたか?」

「あ、はい、そうです、貴方もですか?」

「そうです!この物語シリーズは大好きで新作がでたって見たんで買いに来たんです!」

「俺もこの物語シリーズは結構好きだったよ、新作が出てるとは知らなかったけどまさか今日からだったとはね、運がいいね」

「ですね!あ・・・でもこれ1冊しかないですね」


 まさかの1冊しかないという、今日発売だから売り切れ間近だったわけかここは譲るか。


「あーほんとだ・・・じゃあ君に譲るよ」

「え!?それは悪いですよ、あなたに譲ります」

「いや、君が買わなくても俺はそのまま帰るので」


 譲り合っててもキリがない気がしたから強引に切り上げよう。


「む〜仕方ないですね、あなたのその制服は南星の服でしょうか?」

「ん?そうだけどそれがどうか?」

「実は私も南星なんです、だからこれ読み終わったら貸すってことでどうですか?」

「いや、わざわざ貸してもらわなくても日を改めて買いに来るよ」


 なんでいきなりこんなこと言ってるんだろうか、違う日にくればまた売ってるかもしれないし俺は即読みたいとか思ってる訳でもないからそこまで気を利かせなくていいのに。どうするか・・・


「私1年の佐宮さみや美月みつきと言います」

「えーと、僕は2年の相澤玲央です、よろしく」

「先輩でしたか、それでは後日伺わせて頂きます、失礼します」

「あ、あぁ」


 なんかいきなりすぎてついていけなかった。後日来るとか言ってたけど、まさか2年の教室まで来るなんてことは無いはずだ、クラスまでは教えてないから知らないはずだし。気にしててもしょうがないし、今日は帰るか。

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