第4話

「おはようございまーす。」

「おはようございまーす。」


聖を朝から迎えてくれる暖かい声がした。ああ、今日も挨拶してもらえた、と聖は内心ホッとする。この病気になってから、自分が他者から受け入れられえるか、られてないかてしか判断せず、いつもそこで思考が止まっている。


ここは、やすみやは聖にとって優しい。臭い聖を暖かく輪の中に入れてくれるのだ。


ああ、長くなると言った話の続きたったが、それは聖が抱えている自身の臭いに関するものだった。一応医者からは自臭症と診断されてるが、本当は生活習慣病からくる内臓の疲れが所以で、異臭を放ってる。ただ他に病名がつけられないだろう。間違いがなく実際は、自分の身体からは異臭がしてるんだろうなと聖は思っている。


発症当時、24才だったか、医者にどんなに自分の臭いの事を聞いてくれと懇願しても、臭くない、自臭症だの一点張りで言い張られた。多分、治療法がないからだろう。今は冷静に文字にも起こせるが、当時は涙か止まらなかった。どうして私の言うことを聞いてくれないの?ねえ、どうして?診察が終わったあと、看護婦が私の診断領収書?みたいなのを持ってきたのを覚えている。渋い顔をしたナースはクリアケースの中でひしゃげた紙をそのまま直しもせずに渡してきた。


町を歩けば待ちですれ違う人、バスに乗り合わせた人、ご飯屋さんで近くの席に座った客、一応にして、聖の方を気にする素振りをする。そして、咳き込む。聖がフードコートに座ってお茶を飲むと、瞬く間に人は居なくなってしまうのだ。その時に目から微かな液体が流れ落ちるのを、手で拭いもせずにその場を立ち去ったのは記憶に新しい。


そんなことも頻繁で最近外出が億劫になり始めてる今日この頃、そんな私にとってやすみやは唯一心が休まる場所なのだ。

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