第3話

聖は統合失調症を患っている。障害年金も受給しており、等級は2級である。数年前、3級を受給していた聖だったが、病状が悪化し、病院を変えたタイミングで2級に変更になったのだった。知らない人が聞けば、ただただ残念な展開だと思われるが、2級と3級では国から貰える受給額が随分違うのだ。聖は2級の受給者証が届いた時、その受給額を見るなりガッツポーズしたのを鮮明に覚えている。実家暮らしの聖には贅沢は出来なくとも月々暮らして行ける金額がそこには書いてあった。とはいっても、普通にフルタイムで働いた場合の労働賃金に比べれれば雀の涙程度であるが。


そして聖は家から歩いて15分の作業所に通っている。もう通所するようになって一年近く経った。そこで聖はカステラを焼いて販売しているのだ。


息を切らしながら歩くこと15分、通いなれた作業所「やすみや」に着いた。

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