娘の予感と言うのは


1度自宅に戻りしずくは警察に電話した、万が一の事を考えて。

もし風呂場で腕を斬っていたら、もし車で練炭自殺でもしていた、もし、もし…と悪い方向に考え出すと止まらず警察に話す声がふるえる。

そんな時、椿つばきのスマホに着信が鳴り兄からの電話を椿は出た。


「 椿!家の中案内できるか!? 」

「 で、できる! まず真っ直ぐ行ったら居間で─── 」


兄が親父と叫びながら家の中を捜しているのが電話でも伝わる。

父の友人も一緒に捜しにきていて2人で捜すがようは家の何処にもいない。


「 どこ行ったんや、親父…! 」


2人が一人暮らしにしては広い一軒家を捜す中椿には思い当たる場所が1つだけあった。

父にとって大切な場所で私達家族を守る為の場所。

そこにならいてもおかしくない。


「 …お兄ちゃん、居間の奥の襖開けて 」


椿の発言に沈も息を飲んだ。

もう彼女には分かっていたんだ、父が何処にいるかなんて。


「 っ、親父ぃ!! 」

屠所としょさんっ!? 」


電話越しに2人の叫び声を聞いた母はまだ電話が繋がっている警察に救急車を頼んだ。

住所は伝えてありすぐに救急車は自宅に着いた。

切れてしまったスマホを眺めて椿は口を開く。


「 あの場所は、パパがママと私を守ろうと鍛える為の部屋だから、きっと最後はそこにいるんだろうなって…また当たっちゃった 」


母が泣きそうになる中、椿はポツリと呟いた。


コロン、と1つネジが外れた。

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