娘は二十歳
長月 満
娘に届いた連絡
生まれ育った町から離れて早5年。
いつもと何も変わらない日々が続いていた。
時々故郷に帰っては父と母と仲良く買い物をしてきた娘、
彼女はこの日々がつまらなく感じる時もあるが家族が揃った時はとても人生で1番幸せだと感じていた。
「 あれ? パパ? 」
そんなつまらない日々のある日の出来事。
椿は体調が今までに無いくらい悪くなり仕事を休んで自宅の布団で寝ていた日。
昼ご飯を食べてから夜まで1度も起きる事が無かったがふと目が覚めた椿はスマホの画面が光っているのに気づく。
「 なに、これ… 」
表示されていた通知画面には父、
前日まで自宅に出た鼠の話をしていたからそれに関してだろうと思った椿はトーク画面を開いて絶句した。
〔 ママをたのむ 〕
これが羊からの連絡であり不気味に思った椿はすぐ電話をかけるがその電話がとられることはなかった。
「 パパお願い、ねぇ、パパ!! 」
何度かけても出ない電話に痺れを切らし上着を羽織り近くにある母の職場へと走っていく。
今日程このスクランブルの信号に腹が立った事があるだろうか。
信号が変わるまでが彼女には1時間にも感じる程焦っている。
それほど椿の予感と言うのは当たると言われていた。
「 ぁ、ママ! パパが!パパが変なの! 」
「 ママもさっき変なメールがきて…椿、パパに電話はした? 」
「 したわ! 何度もしたけど出ないの! 」
車屋で働いている母、
そのままスマホを耳にあてかけた相手は椿の義兄、羊の前妻の息子に電話して自宅を確認してほしいと連絡した。
そして自宅に着いたらまた連絡する、と言われ1度電話を切り椿を抱きしめた。
「 ねぇママ、パパは大丈夫だよね? 私達ちゃんと家族をやり直そうって言って約束したよね? 2年後ちゃんとやり直そうって 」
「 椿…大丈夫、パパは強いから、大丈夫。今椿のお兄ちゃんが見に行ってくれてるから 」
その大丈夫は沈自身に言い聞かせてるようにも聞こえた為椿は何も言い返す事はなかった。
しかし狂いだした歯車は止まることを知らなかった。
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