25:運命はまだ変わってない!
「ねえ――お姉ちゃん、聞いてる? 聞こえてる、これ?」
電話口から響くのは、美少女JCコスプレイヤーことウノハラ・エリカさんの声。
「……今、仕事中だ」
「ごめんお姉ちゃん、この前言ったこと謝る。謝るから――助けて」
シノブさんの銃口が、ピクリと動いた。
「どうした」
「変な男がついてきてるの」
背筋に冷たいものが走った。
「どんなヤツだ」
「背が高くて、なんか持ってるの。ずっとスタジオの前をウロウロしてて、気のせいかと思ったんだけど」
(ちょっと待て。まさか……だって、彼女に迫ってた
「あのー、清実さん? 今いいですか?」
俺は危うく手摺から落ちるところだった。
(い、い、いつ現れたんだスクルド)
「今ですよー。それよりー、他殺の犯人がー、分かっちゃったんですけど」
このタイミングで!?
(ギリギリにもほどがあるだろ!)
「まあ、『変革力』が放出されるまでは運命は確定してないからねぇ。期日までは何が起こるか分かんないんだよ、こういうタイプのクエストって」
解説ありがとうブリュンヒルデ。
でも先に言ってくれ。
「どうやらー、ウノハラ・エリカさんには熱烈なファンの方がいたみたいで、思いつめたその方が、ブスリと」
モテすぎだろ、美少女JCコスプレイヤー。
(いや、待てよ)
ユミルと霧子。
ヤツらが焚きつけたんじゃないのか?
(クソ、油断してた)
「急用だ。お前達の茶番にかまっている暇はない」
シノブさんは通話を切ると、あっさり銃爪を弾いた。
俺に向けて三回も。
(――嘘だろ!)
俺は咄嗟に伏せてから、別に当たったところでダメージはなかったのだと気付く。
その隙に、シノブさんは素早くビデオカメラの残骸を拾い上げていた。
勢いもそのままに、倉庫の外へと飛び出していく。
「ああもう! 俺達も行くぞブリュンヒルデ!」
「あれ、ユウスケくんは?」
「ほっとけ、死んでないだろ!」
多分。ユウスケくん、なんか呻いてるし。
後で救急車でも呼んでやるからな。
とにかく俺達もシノブさんの後を追って、ペガサスで夜空へ飛び出した。
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