4:異世界はもう満員です
「……は?」
我ながらなんと間抜けな声だ。
ブリュンヒルデは平静に、まるで授業のような口振りで、
「あたし達ヴァルハラはね、死んだ
……聞いたことある。なんとかプロファイル。
「で、まあ、訓練の一環として、色々な世界に
「それが異世界転生?」
「そうそう。でもね」
ブリュンヒルデは急に疲れた顔で、肩を落とす。
「もう
今度は突然顔を上げたかと思うと、そのままグチグチと、
「しかも最近多いのよ。現世でダメだったからコッチで頑張ります! みたいなタイプ。あんまり言いたくないけど、まずは現世で数字出してからにしてほしいのよねー。前線でキルスコア100、指揮官クラスなら20000は超えてもらわないと、やっぱどこ行ってもポストが無いのよ。狭き門なのよ」
段々世知辛い話になってきたぞ。転職か?
「ええと……死人が多すぎて、転生の……枠? が余ってない、ってこと?」
「そうそう、そういうことなのよ。肝心の
なんかちょっとかわいそうになってきた。
見た目は『精悍な女騎士!』だけど、言ってることが……お役所っぽい。
「……なんか大変なんだな、ヴァルキリーって」
「ここからがもっと大変よ」
何故か拳を握りながら、ブリュンヒルデ。
「増えすぎた
ぶんぶんと拳を振って。
「こちとら『戦死者を選定する者』だっつの! 死んだ後のお世話が仕事だから! 死人減らすとかお門違いもイイ所だかんね!? ね!?」
「あ、う、うん。そうね。大変だね」
ブリュンヒルデの鬼気迫る表情に、思わずたじろぐ。
そろそろ分かってきたぞ。
ブリュンヒルデは、顔立ち自体は凄まじく整っているのに、百面相のせいで妙な愛嬌を漂わせている。
なんというか……そう、いわゆる残念美人といえばいいのか。あとおっぱいが無い。
「という訳で。現世に直接干渉できない
ぽん、と肩を叩かれて。
俺は咄嗟に言葉を返せなかった。
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