第15話 ユズハ師匠のおねだり



ユズハ師匠は女の子の弟子が欲しいと駄々をこねた・・・





「孝一君を弟子にしてもうどれくらい経つだろう・・・」

「そんなにも経ってませんよ」


「不良だった孝一君も、こんなにも更正して人々の役に立って・・・そしてその評判を聞きつけた人々によって、この道場は大盛況になるはずだったのに・・・だったのに・・・」



「未だに門下生があなたひとりとは、どういうことかしら?」



「こんなボロボロの道場・・・ちょっと入りづら・・・」



「そうだわ、あなたは中学生だったわね」

「?」



「あなたの友達にここに入門してもらうようにお願いしてきなさい。つまり、スカウトよ」



「・・・・俺は・・・その・・・友達が・・・いない」

ぼそりとつぶやく。

「・・・え、もう一度お願い」



「俺は友達がいないんです。壁を殴るせいで・・・変人扱いされているというか・・・」

「あーなんか ごめんなさいね」

「謝るなー」




今日一日は組手の稽古をしていた。





「・・・私は女の子の弟子が欲しいわ」




孝一は、投げ飛ばされて

仰向けに寝転がり起き上がれないでいた。



「私は考え直した。このまま男子の弟子が増えてもむさ苦しいだけ! 真田流は力を使わず熊を退治する武術なのだから むしろ女子向き、女子の門下生が増えるべきなのよ」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る