第3話 壁を殴り続ける男子中学生





私の学校生活には光がない・・・






大海灯り、中学2年

クラスで私は浮いていた。

クラスで一番かっこいいらしい悠馬君に告白されてそれを断った。

そのことがクラスみんなの反感を買った。



休み時間は、クラスに居づらくて、校舎の目立たない場所にいることが多かった。

校舎の壁にもたれかかってぼんやりと空を眺めていた。

「・・・空きれいだな・・・」




微かにお腹にビリビリと振動が走る・・・




50mほど となりに男子が立っていた。

何かぶつぶつ言いながら怖い顔で壁をにらんでいる。

「・・・よし・・・今の感じでもう一度・・・」




何をしているんだろう?





興味はあったけれど

私はこの奇妙な おとなりさん と一定の距離を保っていた。






$$$







昼休み、

クラスの女子から呼び出しを受ける。

数人に囲まれて逆らえなかった。


校舎裏の壁に追いつめられる。



「お前、悠馬君に色目使ってんじゃねーぞ」

「そうよねー」

「マジウザい」



「・・・私は・・・そんなこと・・・していない・・・」



クスクスと笑う取り巻きたち

悔しくて言い返したいのに・・・怖くて怯えてしまう

涙が出そうになる。






ズン





音はない。

再び音のない衝撃が走る。



壁全体が生き物のように怒号を上げてうねるような衝撃・・・衝撃が伝播して、

壁に手をついていた女子に伝わる。

びっくりして女子は手を退けて後ずさる。




「ふふふ、今日は今までになく調子がいいぞ・・・」




2,3メートル先に壁を殴るジャージ姿の男子が一人

「あ・・・」


全員が男子の方に向き直る。

「・・・」




「あれ・・・学内で噂の・・・」

「ねえもう行こ」

「そうね、私たちも変な目で見られちゃう」

囲んでいた女子はわらわらと解散していった。




(私を助けてくれた?)




「・・・ここで・・・何をしてるんですか・・・」





「あー、そう・・・これは『壁ドン』?」





(それ、絶対違うと思う・・・)

私は言葉を飲み込んだ。




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