第三章 春季下越地区大会 三 大会前夜
いよいよ、明日は春季下越地区大会初日である。順調に行けば、この大会が行われる三日間、男子山並バスケット部は全ての日程に参加する。昨年の実績を考えれば、他校に負けることはないと思われるが、洋と目が加わって戦力アップした山並のように、新戦力の加入によって大化けするチームが無いとは言えない。しかも、下越地区には五年前全国制覇を成し遂げた立志北翔がいる。
あの練習試合で見せたように、洋と目の仕上がり具合は順調と見ていいだろう。もう少し時間があれば、更なる技術の向上が期待出来たかもしれない。ただ、問題はスタミナだ。一ヶ月にも満たない練習量は、やはりスタミナ不足と直結する。二人が先発で出場するのはほぼ間違いないだろうが、この辺りを藤本はどのように考えているのであろうか。
試合会場は高速道路を使って、一時間を少し越えたくらいの、建てられてまだ日が浅い市の総合体育館である。バスケット部員は指定された駅に集合、そこからチャーターしたマイクロバスに乗って、現地へと向かう予定になっている。
明日に備えて、この日の練習は二時間程度で終わった。
洋はいつものように自転車に乗って、日下部と山添両先輩と連れ立って帰宅、途中で別れた。
洋にとっては高校初の公式戦。全く興奮しないと言うと嘘になるが、比較的落ち着いていられるのは、チーム状況を客観的に見ているからであろうか。
洋の予想では、明日の先発は日下部、加賀美、早田、山添、目、この五人であり、これが現時点の最強メンバーだと思っている。
だが、これまでの練習過程を見れば、やはり加賀美、早田、山添、目、そして洋の五人が最強だと思われる。洋が自分を外したのは先輩に対する遠慮からなのか、それとも、本当にそう思っているのか。
しかし、指揮を執るのは飽くまで藤本である。彼は明日どのような布陣で試合に臨むのであろうか。
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