サブマリン

第二章 新しいユニフォーム 九 切り札

　奥原がスローイン。

　日下部がボールを受け取った……

　まさか、これは……

　何と、日下部に対して、洋と笛吹が二人でマーク、プレスを仕掛けて来たのだ。ドリブルで突破を試みようにも、サイドラインが近くにあり、当然そっちには行けない。別のコースに進みたくても、そこには洋と笛吹が立ち塞がり、それどころか、逆にサイドラインへ追い込むようにプレスを仕掛けてくる。とてもドリブルで突破出来るような状況ではない。

　日下部はピボットを使ってプレスを回避、何とかパスを出そうと試みた。

「カベ」

　早田が声を掛けた。

　日下部はジャンプして早田にパスを出した。

　しかし……

　目がパスカット、そのままドリブルして一直線にリングへと向かった。

　しかし、追走する加賀美も、シュートさせじと食らいつく。

　目が跳んだ。

　加賀美も跳んだ。

　勝負の軍配は？

　しかし、最後の最後で目が見せたプレーは……

　左サイドを走ってきた山添がパスを受けて、そのままシュート……

　しかし、今度は滝瀬がジャンプ一番、指先がボールに当たり、シュートの軌道(きどう)が変わった。

　ボールがリングに弾(はじ)かれた。

　と、その時だった。