第二章 新しいユニフォーム 八 それぞれの作戦

 笛吹はもし自分が監督だったらと思って、バスケットをする癖がある。言い換えれば、プレーしながら俯瞰する能力に長けているということだ。それは一年生を除いた誰もが知っていることであり、藤本も時々意見を求めるくらいだ。加賀美がモヤモヤした気持ちをつい口にしたのは、そう言う理由からである。


「とにかく、逆転して突き放す。そして勝つ」


 日下部が言い放った。


 他の皆も、


「ヨッシャー、行くぞ」


 と声を上げると、全員コートへと向かった。


 両チームの試合運びはこの後も同様であった。白チームは積極的に攻め、青チームはパスを回しながら出来るだけ時間稼ぎをするという消極的な攻めを続けた。その結果、白チームはファウルが増えたものの、逆転に成功した。


 第三クォーター終了時点、白61点、青52点。


 得点経過だけを見れば、白チームの作戦通りのように見えるが、逆転されることを計算に入れて、それを10点差以内に抑えた青チームにとっても、これは作戦通りであった。


 残すは第四クォーターのみ。


 果たして、勝負の行方はどうなるのか。


 コート上では、チアリーダー最後のパフォーマンスが繰り広げられていた。

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