第二章 新しいユニフォーム 八 それぞれの作戦

 洋は右に左と切り替えを速くして、日下部のディフェンスを躱(かわ)そうとする。


 日下部も抜かれまいと食らいつく。


 洋はフリースローライン手前まで切り込むんだ。


 そのまま抜きに掛かるのか?


 と、思われた矢先……


 洋は急に止まって、ジャンプシュートを放った……


 いや、洋のモーションはフェイント、ボールは笛吹に渡った。


 笛吹はドリブルインをすると見せかけて、また洋にボールを戻した。


 時間が刻々と過ぎていく。


 洋は目にパスを出した。


 目は0度の位置までドリブル、そこからスリーポイントシュートを放った。


 ボールがリングに蹴られた。


 滝瀬と菅谷がリバウンドに向かった。


 しかし、リバウンドを制したのは早田だった。


 チームナンバーワンの跳躍力を活かしてボールをもぎ取り、日下部にパスを出した。

 そのプレーに、三年女子のみならず試合を見に来ている生徒や先生からもどよめきが起きた。


 日下部がゴールに向かう。


 笛吹が後を追いかける。


 日下部はそのままレイアップに行った。


 しかし、笛吹の伸ばした指先が日下部の視線に入ったせいか、シュートは外れ、ボールはバックボードに当たった。


 後から来た洋がリバウンドしようとジャンプした。


 同時に、奥原もジャンプ。


 ボールは両者の手に収まった。


「ピー」


 ホイッスルが高らかに鳴った。


「ヘルドボール。青、スローイン」


 二人はボールから手を離した。

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