第二章 新しいユニフォーム 八 それぞれの作戦

 ハーフタイム後はコートチェンジが行われる。自陣と敵陣が入れ替われば、当然今までとは周囲の見え方が変わる。シュートを打つにも、前半まではしっくりこなかったのが、コートチェンジをすることで、しっくりする場合もある。


 観客である女子達の移動はなかった。それは声援の聞こえてくる方向が変わることを意味する。果たして、それが選手にどのような影響を与えるのか?


 さあ、第三クォーターの開始だ。


 ポゼッションアローは白チームの攻撃を示していた。


 奥原はバックコートで日下部からのボールをもらい受けると、ドリブルしながらゆっくりと進み、ハーフラインを越えたところで早田にパスを出した。


 早田はドリブルをする構えを見せた。が、すぐに奥原にボールを戻した。


 すると、直ぐさま奥原がミドルシュートを放った。


 笛吹は驚いた。


 ボールは手前のリングに当たった。


 リバウンド勝負。


 加賀美、目、山添の三人がリバウンドに行った。


 もぎ取ったのは、加賀美だった。そして、今一度ジャンプ、シュートを放った。


 ボールはバックボードに当たり、ワンクッション置いて、ネットを揺らした。


 青チームにとって、奥原のシュートはまさかの事であった。奥原の能力からすれば、3ポイントはまずあり得ない。ミドルシュートはあり得るが、それでも、あのタイミングで打つとは予想すら出来なかった。


 しかも、予想外のことはそれだけではなかった。白チームの当たりが激しくなったのだ。プレスがきつくなるのは大凡(おおよそ)予想出来たが、ただ、それは第四クォーターからだと青チームは考えていた。

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