第二章 新しいユニフォーム 七 ハーフタイム

「そうだ、それを聞こうと思ってたんだ。矢島は前半戦、幾つスティールをした?」


「6つです」


「先生、スティールって何ですか」


「文字通り、相手からボールを奪うことだ。相手チームはそれをされると攻撃のリズムが悪くなるし、逆に味方は勢いに乗れる。スティールはバスケットのプレーの中でも、とても重要なプレーだ」


 と、そこへ、再び立花が戻って来た。一周目よりも彼のピッチは上がっているように思えた。


 チアの演技も終了した。


 観衆から拍手が起こった。


 体育館脇の出入り口から、日下部達が戻って来た。


「立花、少しはあったまったか」


「はい」


「お前、自己紹介の時、中学では陸上をやっていたと言ってたよな」


「はい」


「種目は」


「中距離です」


「どうして、お前はバスケットをやろうって思ったんだ?」


「色んなことをやってみたかったんです」


「じゃあ、小学校の時も何かやっていたのか?」


「リトルリーグにいました」


「野球と陸上か……バスケット以外の選択肢はなかったのか?」


「サッカーは考えました」


「で、バスケットを選んだんだ」


「ちょっと迷ったんですが……」


「バレーは考えなかったのか?」


 と、立花と藤本の会話に鷹取が割って入った。


「バレーは攻守の区別がはっきりしてるだろ。野球もそうだから、興味は沸かなかったな」


「それでサッカーと迷ったわけか。で、どうだ?練習を始めて、何か考えることはあったか」


「……どの世界にも凄い奴って、やっぱりいるんですよ。そんな奴を見ると、本当に嫌になります」

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