第二章 新しいユニフォーム 六 エースの風格

 再び、白チームの攻撃。


 奥原がドリブルしながら歩いて行く。


 早田は奥原が来るのを待ちながら、チラッと洋を見た。


《こいつ、まるで俺がロールターンするのを分かっていたかのようにスティールしやがった。カベが言ってたのは、この事か!?》


 早田が左45度の位置についた。


 加賀美がセンターの位置についた。


 奥原はどこにパスを出せばいいのか探っている。しかし、笛吹のマークが厳しい。


 と、その時だった。


 日下部が早田に向かって走り出した。


 洋も日下部を追った。


 すると、ワンテンポ遅らせて、早田が日下部とクロスするように走り出した。


 日下部がスクリーンで山添を止めた。


 洋はしまったと思った。


 早田が3ポイントを放った。


 しかし、力んだのか、ボールはリングの奥に当たった。


 弾かれたボールが宙を舞う。


 加賀美がリバウンドに向かおうとした。


 しかし、目のディフェンスがそれを許さない。


 勝負は滝瀬と菅谷の一騎打ちになった。


 二人の手がボールに触れた。


 リング下でボールをもぎ取ったのは、滝瀬だった。


 滝瀬はそのままシュートに向かおうとした。


 しかし……


「パーン」


 と音がしたかと思ったら、滝瀬の手からはボールが既に消えていた。何だ、何が起こった?


「矢島」


 声を上げながら、目はもう走っていた。


 洋はスティールしたボールを投げた。


 目の走る先にボールがワンバウンドして来た。


 目はそれを手に取り、そのままレイアップ。


「ザッ」


 見事にシュートが決まった。


 またもや、一・二年女子から黄色い喚声が起こった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る