第二章 新しいユニフォーム 四 新しいユニフォーム

 講堂に残っていたメンバーはまだ休憩中であった。何を話しているのかは分からないが、笑い声が起きているくらいだから、よほど楽しいことなのだろう。


 そこへ、藤本達が戻って来た。


「カベ」


「はい」


「チアリーダーの連中は……」


「さっき出て行きましたけど」


「そうか」


「何か、あるんですか?」


「これから合同練習をする」


「合同練習?女子と練習試合ですか?」


「違う。チアのメンバーとだ」


「はっ?」


 日下部は、びっくり半分、意味不明半分と言うような表情をした。


 他のメンバーも全員、同様の思いだった。男子バスケとチアで合同練習と言っても、一体何をするのだろう?


「それより、ユニフォームが出来たから、三年生から順番に取りに来い」


 そう言われると、三年生全員床に置かれたダンボールのところへと向かった。


 それぞれ背番号を確認して、自分のユニフォームを手にすると、包装のビニール袋を破って取り出して見た。


「思ったより派手だなあ」


 日下部が言うと、


「何言ってる。ユニフォーム負けしないだけの実力を付けるためにも、派手な方がいいと言ったのは、どこのどいつだ」


 と、早田が言った。


 加賀美は何も言わず、Tシャツを脱いで早速ユニフォームを着てみた。


「加賀美さん、カッコイイ」


 菅谷が褒(ほ)めそやすと、


「そうか」


 と言って、加賀美も満更ではないようだった。

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