第一章 高校バスケット部、入部 四 練習開始

「先週の半ばまでは十人はいたんだけどな……」


 早田がそう言うと、


「たった十人?」


 と、洋は驚きを隠さなかった。


「どうも勧誘の仕方が間違ったようで、全国制覇に近いポジションにいることを強調したら、敬遠されたみたいなんだ」


 と、日下部が言った。


「どうしてですか?」


「決まってるだろ。練習がきついからだよ」


「まあ、実際きついけどな」


 と、早田が日下部のだめ押しをした。


 例年なら二十から三十人くらい入部して、それから徐々に辞めていって、夏休みに入る前くらいには、大体いつも七~八人前後になっていた。しかし、今年は四月の時点で二十人にも満たず、それが一気に減った。もし、矢島と鷹取が入部しなかったら、今年はたった三人という自体に陥っていたことになる。


 洋は勧誘の原因は間違いなくこれだと思った。さっきも用具室で聞いた自分に対する過度な期待はきっと大したことではない。


 日下部が整列するように促した。二列に並んで先頭から三年、二年、一年の順番に並んで、円を描くようにコートを走り始めた。


 三年生、四人。


 二年生、四人。


 一年生、五人。


 総勢十三人の山並高校バスケット部の本格的な練習が今ここに始まった。



                    第一章 高校バスケット部、入部 完 

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