第一章 高校バスケット部、入部 三 キーマン

 待ち合わせ場所である改札口に行くと、鷹取が自販機からちょうど何かを取り出そうとしているところだった。


「待った?」


 洋が声を掛けると、


「おっ、グッドタイミング」


 と、鷹取が言った。


「切符は?」


「まだ」


 と言うと、ペットボトルのキャップを捻(ひね)った。


 ここ数日は天気が悪い。肌寒さも覚える。洋もホットのお茶を買った。


 改札を抜けてホームに入ると、二人はベンチがあるところまで向かい始めた。


 すると、


「あっ、鷹取」


 デカいとやはりよく目立つ。夏帆は彼を見つけるやいなや、気さくな笑顔を浮かべて声を掛けた。が、ほぼ同時に洋を見つけた途端、彼女の笑顔がさっと消えた。


「あれ、水家じゃないか」


 洋も鷹取が気づいた時には既に気づいていたが、素知らぬ顔をした。


 夏帆の隣には同い年くらいの子がいた。夏帆もまた友達連れのようだった。


 鷹取は水家の方に向かって歩きながら、


「水家、どこ行くの?」


 と尋ねると、


「スポーツショップ」


 と、溌剌(はつらつ)とした声で答えた。


「あっ、俺等も」


「えっ、そうなんだ。何て言うお店?」


「矢島、何て店だっけ?」


「えっ……ああっ、ちょっと待って」


 と言うと、リュックから財布を取り出して、藤本からもらった名刺を夏帆に渡した。

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