第2話 それが恋なんて知らなかった
それからも彼女は変わらず手伝いに来てくれた。そのおかげで今日中には終わりそうな量になっていた
そしてそのことを手伝いに来てくれた彼女に
伝えたらそれは良かったと彼女は言っていた
もしかしたら今日で彼女とは話す機会がなくなるかもしれない
そう思うと少し寂しくなった
だからなのか僕は最後に気になることを聞くことができた
「ねぇ、あいつのこと好き?」
僕は隠さず堂々と彼女に聞いた
すると彼女は
「うん、好きなんだと思う」
と言った
それを聞いた僕は
「そっか...」
としか言えなかった
それから本の運び出しがようやく片付いたのでいつも通り帰ろうという流れになったのだが僕は彼女に
「一緒に帰りませんか」と言った
それは初めて
その答えを聞いた時、僕の胸はこれまでになく高鳴っていた
彼女との帰り道の途中僕は聞いたあいつのどこが好きなのかと
すると彼女は優しくて自分より他人のことを優先しちゃうところとか不器用なのにいろんなことをしようとするところとかそういうところを含めて好きと言った
それを聞いた僕は
「そっか...応援するよ」
と言った。
それしか言えなかった
彼女はありがとうと言って僕の方をみていた
それは僕のみたことのないあいつの前で見せる顔で僕に対しては絶対にしてくれない顔だと思った。そんなあいつを僕は羨ましいと思った
それから彼女と別れ家に着き自分の部屋のベッドの上で横になって彼女とあいつのことについて考えていた
また胸が痛かった
そこで僕はようやく気づいてしまったこれが恋なのだとそしてそれが叶わぬ恋だと知ってしまった。
しばらく布団から動けそうになかった
こんな恋なら知らなければ良かったと思った
こんなに辛いなら知らなくても良かった
彼女に出会わなきゃ良かったと
でも、僕は彼女が好きだと気づいてしまった
しかしそれは叶わぬ恋
ならせめて僕は彼女を応援しよう
彼女が幸せならそれでいいと
無理やり自分に信じ込ませた
どこかで聞いた話だが初恋は叶わぬものというらしい
全くその通りだと僕は思った
そして出来るだけ彼女の顔を思い浮かべながら眠りについた。
せめて夢の中ぐらいは僕を愛してくれる都合のいい彼女に会えますようにと願いながら
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