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 今日は、ダニエルお兄ちゃんが家に来ました。

 昨日のぼくは何も考えずに走って家まで帰ったので、いろんな人がぼくの普通じゃないところを見たらしいです。ぼくは今、村中の大人の誰よりも足が早いんです。どうしよう。


 ダニエルお兄ちゃんは、ぼくに足の速さ以外に変わったところはないか聞きました。だからぼくは、全部話しました。隠してもきっといつか分かってしまうなら、もう全部話してしまおうと思ったんです。

 ぼくの話を聞いて、ダニエルお兄ちゃんは「村の手伝いをしてみる気はないか」と言いました。ぼくの力があれば、村の復旧ももっと早くなるし、みんなからも印象もよくなるから、だって。


「お前は別に、何か悪さをした訳じゃない。その力は使い方さえ気を付ければ、きっとすごい成果を生み出すぞ。俺は役職柄、便利な物を使わないでおいておくのは勿体ない、損だと思うし、何よりこのままじゃお前が不憫だ」


 ぼくはダニエルお兄ちゃんのその言葉を信じたいと思った。


 ぼくはダニエルお兄ちゃんに連れられて、牧場や資材置き場がある区画に行きました。たくさんの人が、いろんなことをしています。資材を運んだり、釘を打ったり、いろいろです。

 ダニエルお兄ちゃんはグレイおじさんと何かを話して、それからぼくに「じゃあ、俺は仕事があるから」と言ってどこかに行ってしまいました。


 グレイおじさんはぼくに、あの岩をもてるかと言って、大人が上に乗れそうなほど大きな岩を指さしました。ぼくは、どれくらい自分に力があるか試したことはなかったので、とにかくやってみました。力を入れたら簡単に持ち上がりました。  「重くないか」って聞かれたので、「あんまり」って言いました。

 ぼくはグレイおじさんに、石材運び係に任命されました。大きな岩を運ぶには、人手も道具も居るし、その上で時間がかかるから、一人でやれるならそれに越したことはないんだって。


 ぼくはせっせと岩を運びました。自分と同じくらいの大きさの岩を、頭の上に押し上げて運んでいたので、すれ違う大人たちはみんな驚いた顔をしていました。

 言われた場所に置いてあった岩を全部運んでしまうと、今日は一日目だからもう帰っていいと言われました。「役に立ちましたか」って聞いたら、グレイおじさんは少し驚いた顔をして、でもぼくの頭を撫でてくれました。

 とっても役に立ったって。嬉しいです。えっへんって、感じです。


 とっても嬉しかったので、家に帰ってアリアにこのことを話しました。

 「よかったね」って言ってくれました。えっへんです。

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