13ページ目
昨日のぼんやりが嘘みたいに、すっきりした朝でした。でも、昨日のことを思い出すと、駄目です。
ぼくは、ほんとうに魔物になっちゃったのかな。
起きた時、口から出てきた布は、血が取れて綺麗になっていました。
今日も外に遊びにいきます。前のぼくはそうだったから、だから今のぼくだって遊んだら悪いことを全部忘れられると思ったからです。ぼくは、ずっとぼくだから。
だけど、その日は行っちゃダメな日でした。ジャンが居たんです。
ジャンはぼくを見るなり、いきなり飛びかかってきました。ぼくは避けました。いきなりっていっても何も言わずに殴りかかってきたというだけで、ジャンの動きは見えたからです。
でも、「化け物!」っていう言葉に、体が動かなくなってしまって、その間に胸倉を掴まれていました。
ジャンは、ずっとぼくにいろんなことを怒鳴りました。「なんで他の奴は助けて、オレの父ちゃんと母ちゃんは助けなかったんだ! オレが、いつもお前をからかってたからか!」とか。
別にぼくは、アリア以外は助けようとして助けた訳じゃなかったので、違うって言っても、ジャンの大声がそれを掻き消してしまって、ダメでした。
ジャンは言いました。
ぼくは魔物と同じ化け物で、みんな怖いから言わないだけで、ほんとうなら今頃魔物といっしょに殺されてるはずで、やっぱりみんな怖いからしようとしないだけで、どうせ化け物になるなら最初から化け物になればよかったんだって。
「ぼくは化け物じゃない」それだけ言い返したら、ジャンはぼくを殴ろうとしました。ぼくは、その拳を握りしめました。軽く握ったつもりだけど、ジャンは痛そうにして、「離せ!」ってもう片方で殴ったけど、ぼくはぜんぜん痛くなかったので、握り潰してやろうとしてアリアの「やめて!」って声がして、だから手を離しました。
そこでぼくは、やっとのことで自分がしようとしたことが、とんでもないことだったと気付きました。
ぼくは、走って家まで帰りました。
アリアが追いかけて扉のところまで来たので、入らないでって言いました。布を噛みます。
ぼくは化け物じゃないです。きっと、そうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます