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今日は朝から変でした。なんか、頭がぼーっとします。
ママに言ったら、熱かもしれないと言って、熱を測ってくれたけど、でも熱はないみたいです。
数日前にあんなことがあったから、疲れがきたのかもしれない。ママはそう言ってた。
布団に入って、じっとしていました。アリアが何かを言ってたけど、聞こえなかったのでじっとしていました。
なんか、変です。アリアを見てると涎が出ます。
それに、朝もお昼も夜も、ご飯を食べたのに、お腹が空いてます。涎が止まりません。
ひもじくて、指を吸っていたら、血が出て、それを舐めたら少し頭がはっきりしました。
外はすっかり真っ暗になっていました。寝なきゃいけない時間なのは分かったけど、お腹が空いて、眠くないんです。涎が少し垂れてしまったので、ぬぐいました。
酔っぱらったグレイおじさんにバーニーおばさんが、夜風に当たってこいって言ってたのを思い出しました。ぼくの病気も夜風に当たったら治るかもしれない。窓を開けました。
顔を出すと、夜の冷たい空気と、寝静まった家が見えました。夜風が、吹きました。
とっても良い匂いがしました。
ぼくは、周りに目と耳をやって、誰も居ないのを見て寝息しかないのを聞くと、庭に植わってる木に飛び移って、そこを伝って下におりました。鼻をくんくんとさせて、匂いを追いかけます。
なるべく影になってるところを通ります。暗いところが怖かったはずなのに、今は暗いところでもよく見えるようになってしまったので、怖くありませんでした。
ぼくの足音だけが聞こえてます。
着いたのは、村の中央から牧場の方に行ったところにある、ゴミの埋め立て場でした。
四つん這いになって、鼻を地面につきそうになるくらい近づけて、匂いを嗅ぎます。他にもいろんな匂いがしていたし、その中には鼻が曲がりそうなものもあったけど、でもそんなの気にならないくらい、いい匂い。
手を狼にして、地面を掘り返しました。少し掘ると、あの日ぼくが着ていた服が出てきました。狼になって体が大きくなった時に破れちゃったので、血まみれの布きれと言ってもいいくらいです。
ぼくは、そのままその布きれを口に入れて、くちゃくちゃと噛みました。土がじゃりじゃりして、でも涎で布がふやけたら今度は血の味がしました。これは返り血なので、これは魔物の血です。
ひどい味です。美味しいです。
ぼくは、隠せる量の布だけを持って帰ることにして、残りは埋めました。明日は泥遊びをしたことにしないといけなくなりました。服が土まみれになってしまったからです。
布をくちゃくちゃしながら帰って、汚れた服や布を隠してる間も、ずっとくちゃくちゃしていました。
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