フェンリス狼少年記

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　皆が外で走ってるのを見ながら、練習をしました。

　ぼくは、なんだか賢くなったみたいです。皆がどれくらいで向こうの壁から壁まで走り抜けたか覚えて、それくらいになるように調整できたからです。

　これならみんなと遊べます。がんばった。

　今日は練習の成果を見せようと思います。

　朝ごはんを食べていたら、アリアに楽しそうな顔をしてるって言われました。

　早速みんなで鬼ごっこです。かくれんぼは昨日、ぼくが一人で練習してる時にやったんだって。

　ぼくは一番最初の鬼ではなかったので、走ります。頭の中で数を数えて、その通りに足を動かします。いーち、にー、さーん、しー、いーち、にー、さーん、しー。間延びして一つ数える毎に一歩です。たまに足早になっちゃうけど、これくらいなら少し早いくらいです。

　誰がどこに居るかは分かったけれど、そういうのは無視して自分の中で最初に決めておいたコースを走ります。これなら、変に思われないはずです。実際、何回かタッチしたりタッチされたりして、普通に遊べました。

　途中でヒューイに「ずっと走ってるのに、苦しくないの？」って言われました。ヒューイは走るのが苦手だからなんだろうけど、どきっとしました。

　普通なら、しばらくしたら走り疲れて休憩をするはずです。次から気を付けようと思いました。

　……でも、これって、遊んでるのかなぁ。