前になにかのテレビで、昔の攻城兵器の一つ、カタパルト(投石機)の実演を見ました。
巨大な天秤棒の片方にぶら下がった六トンの石。もう片方には長い綱の先に編まれた網。
その網を、カタパルトの台の下に潜り込ませて、って奴です。
人殺しの兵器なんであんまり手放しで喜ぶのもなんですが、二重振り子みたいな動きで、ロマン溢れる飛び方をするんです。
そうやって、ロマン溢れる感じで投げ込まれた首。
籠城して、包囲されて、「もうだめだろ」ってなりながらも訓練する奇妙な日常。
ごく微量のラジウム(たしか)が練り込まれた光るグラス。
泥だらけの床にぶちまけられた、ふやけた大麦。
今とは全然違うけれど、そういうこともあったんだろうな、という時代に起こった、おおよそ不釣り合いな程に優しい物語。
不釣り合いだからこその、物語でした。