成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場

第七話「自分からはしないと思った。だけど、自分からしたくなった」

――AKIRA@野生の掟:ヤッホー! ちょっときいてくれ!


――ハルハル@暇:どーしたのー?


――AKIRA@野生の掟:あれ? なんで「暇」なんだよ コンサートは?


――ハルハル@暇:午前中におわったわー。それよりー、晶こそなんで「野生の掟」なのー?


――AKIRA@野生の掟:実は 動物園みたいなところにいったんだ だからだよ


――ハルハル@暇:だから「野生の掟」と言われても、まったく納得できないのだけどー


――AKIRA@野生の掟:こまけーことはいいんだよ とりあえず動物園みたいなとこの話なんだが


――とまり@修羅場:ちわろー(「こんにちは」と「ハロー」の造語。今、考えた)。


――ハルハル@暇:ちわろー


――AKIRA@野生の掟:つきあいいいな 遙……


――とまり@修羅場:流行はやらす!


――AKIRA@野生の掟:無理だ!


――とまり@修羅場:で、晶は誰と一緒に動物園に行ったのかね? 男かね? 小説のネタになるかもしれないから、そこのところ詳しく!


――AKIRA@野生の掟:友達をネタにすんな!

――AKIRA@野生の掟:一緒なのは親戚だ

――AKIRA@野生の掟:詳しくは帰ったら話すけどさ とりあえずそこに面白い看板があったんだ

――AKIRA@野生の掟:写真を送る



https://blog.guym.jp/2020/01/sdc005-07.html



――とまり@修羅場:ほむ。なんじゃ、これ。


――AKIRA@野生の掟:ちょっと写真が小さいけど 「うんちをそうじしよう」「じゆうにつかってね」って書いてあって そこに掃除道具がおいてあんの


――ハルハル@暇:自分たちの仕事の一部をエンタメ的に客にやらせるわけね?


――とまり@修羅場:一石二鳥! 天才か?


――AKIRA@野生の掟:でもさぁ こんなの誰が好き好んでやるんだ? 自分から掃除させてくださいなんて普通ねーだろ?


――ハルハル@暇:それはどうかしらねー

――ハルハル@暇:たとえばー、晶に片想いの好きな人がいたら、頼まれなくてもその人の部屋の掃除をしたくなるんじゃなーい?


――AKIRA@野生の掟:……なる!

――AKIRA@野生の掟:確かになる!

――AKIRA@野生の掟:むしろ金払ってもやらせてもらいたい!


――とまり@修羅場:そこまでかよ(笑)


――AKIRA@野生の掟:なるほど 好きな相手なら世話したいと思うわけだ!

――AKIRA@野生の掟:動物好きなら確かに掃除したくなるのかもな


――ハルハル@暇:とくに晶は、尽くす系だからねー

――ハルハル@暇:誰かに何かしてあげたい病よねー


――とまり@修羅場:ほむほむ。つまり晶は、金を払っても好きな相手のうんちを掃除したい病ということか。


――AKIRA@野生の掟:ちげーわ! そこにつなげるな!


――とまり@修羅場:ほむ。不痔の病だな。


――AKIRA@野生の掟:治の字が痔!

――AKIRA@野生の掟:しかもそれじゃ病気じゃねーみたいじゃんか!

――AKIRA@野生の掟:ちゃんと うんちできそうじゃん!


――ハルハル@暇:かわいい女の子が、うんちなんて連呼しちゃダメよー。うんちなんてー


――とまり@修羅場:この会話、ハルハルの親が見たら泣くな。


――AKIRA@野生の掟:女子高校生のチャットでこれだけうんち連呼するのはそうねーよなw


――とまり@修羅場:ほむ。おまえがはじめたんだぞ……。


――AKIRA@野生の掟:とまりんに言われると 腹が立つより悲しい


――とまり@修羅場:なんでだよ……。


――AKIRA@野生の掟:そういえばさ いろいろな動物を見て改めて思ったんだけどさ


――とまり@修羅場:ほむ。


――AKIRA@野生の掟:とまりんって 変な生き物だな


――とまり@修羅場:どーいう意味だ、こら……。




「晶ちゃん、そろそろ温泉に行くぞ」


「オーケー。今、用意する。かず兄は用意できてるの?」


「ああ」


「ずいぶん早く行くんだね」


「ちょっと離れているからな。それに腹も減ってきた。早めに風呂を終わらせて、晶ちゃんのうまい飯が食いたいしな」


「――! そ、そうか……ふふん。任せてよ!」


 泊たちとチャットして気分転換したこともあったかもしれない。

 しかし、それよりもかず兄の些細な一言が気分を変えてくれる。

 さっきまでの不機嫌が嘘のように、晶はそそくさとテントの中へ荷物をとりにもぐっていった。

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