ノー・キャンピングデイズ

コラム

「キャンプ用品、買うか借りるか、高いか安いか」

ソロ「前回のコラムで道具の話をしたが、初心者から『必要な道具がわからない』『なにから買ったらいいのかわからない』という質問はよく受ける」


泊「ほむ。気持ちはわかります」


ソロ「本当か? きみは最初、迷わず適当に買ったみたいだったが……」


泊「そういうことをするから、あとで困るのですよ! ちゃんと考えて買わないとだめですよ、ソロさん!」


ソロ「……え? なんで俺が怒られる形になっている?」


泊「だって、ソロさんったら寂しい独身男性のくせに、あんな大きなテントをいくつも買って。よけい寂しくなるのに……」


ソロ「ぐっ……コレクションなんだから、余計なお世話だ。それにな、前にも言ったかもしれないが、けっきょくよく考えて買っても、使ってみるとわりと『あっちのがよかった』『こういう組み合わせの方がよかった』みたいなのが次々と出てくるんだ。こういうのは、だしな……」


泊「沼? ああ、趣味にズボスボとはまっていくという底なし沼状態ですよね。前にも言っていた、キャンプ沼。キャンプ用品って割と高いから、お金が湯水のようになくなっていくのでは?」


ソロ「沼にはまらなければ、そこまで金はかからないんだが……」


泊「ほむ。そうですかね? 沼はまだしも、普通に買うのも高いですよね、キャンプグッズ。しかも使ってみたら使いにくくて買い直しとかあるなら、初心者にはそれだけで辛い……」


ソロ「そうだな。それに高額をかけて買ったのに、二度と行かなくなったりするともったいない。そういうお試しをしたい人は、キャンプ場の中でキャンプ用品のレンタルをしてくれるところもあるから利用するといい」


泊「ほむ。レンタル、ありますね」


ソロ「貸し出ししているアイテムは、必要性の高いアイテムだから、そこから使うアイテムを選ぶだけで悩まないで済む。それに使い勝手も知ることができるし、なにより荷物が少なく片付けも楽という利点がある」


泊「そうですが……わりとしますよね、レンタル代金」


ソロ「それでも、貸し出しアイテムは有名メーカー品だからな。それを買うよりははるかに安い。それに何回も利用するなら買った方がいいが、次に行くかどうかわからないならレンタルで十分だろう」


泊「ほむ。確かに」


ソロ「ほかに安く済ますならば、家にある物をなるべく利用する方法だ」


泊「わたしが自宅のガスコンロをもってきたみたいにですか?」


ソロ「そうだ。たとえば夏ならば、寝袋がなくても家にあるタオルケットだけでなんとかなってしまう。食器類も家にある物で割れにくい物を持ってこれるならそれですむだろう。割り箸と紙皿でもいい。キャンプ用というのは、単に軽量化やコンパクト化されているだけのアイテムも多い。運べるなら、別にキャンプ専用にこだわる必要はない」


泊「あまりおしゃれではありませんけどね……」


ソロ「まあ、おしゃれさは慣れてからでいいだろう。それから、一〇〇円ショップの利用は有効だぞ。わりとキャンプに使える品が売っているんだ。下手にレンタルするよりも安くすむ部分もある」


泊「ほむ。ウェアなら、ワークマンみたいなのもお薦めですね。わたしもバイクウェアで採用していますけど」


ソロ「あれは、本当にコストパフォーマンスがいい。ギアに関しても、キャンプメーカーが出しているものは、やはり軽量・コンパクトの他に、丈夫さや使い勝手などこだわっている分、値段が高くつく。長く使うならまだしも、キャンプを試してみたいだけならレンタル代わりに、安いもので使い捨て感覚もありだ」


泊「あまり安物だと、私のテントのようにはずれもありますけどね……」


ソロ「確かに。ちなみにやはりアマゾンや楽天市場などの通販には、店舗には並んでいない安いギアがある。まあ、買うときは自己責任だが、うまく利用すれば費用を抑えられるだろう」


泊「そして慣れてきたら、おしゃれで質のいいものを選んでいって……沼にはまればいいと?」


ソロ「……どんな趣味でも沼は怖いぞ。ちなみにキャンプ沼には階層がある」


泊「階層?」


ソロ「たとえばだけどキャンプ沼の下にある沼のひとつに、【スノーピーク沼】があり、その下に【IGT沼】などがある」


泊「ほむ。ぜんぜんわかりません」


ソロ「まあ、世の中には知らなくていい世界もあるんだよ……」

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