はあとフルデイズ♥
「テントの種類ってなにがあるの?(一)」
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※【はあとフルデイズ♥】は三人娘の四コマ漫画風おまけストーリーです。
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朝の空気は、まだ暖かい。
おかげで少し早足で登校すれば、教室に入ったばかりだと暑いぐらいだ。
「おはよーっす!」
しかし、さらに晶は自分の教室から隣の泊たちの教室までダッシュでやってくる。
汗どころか、呼吸も乱さず元気いっぱいの笑顔を見せる。
「ほむ。おはよう」
「おはよー、晶。今日も元気ねー」
教室の隅に座っていた泊と遙は向きあって、机の上で一冊の本を開いていた。
ただ、それは教科書ではない。
カラフルな写真らしき物が見える雑誌だ。
「なんだ? 遙の水着グラビアでも載ってんのか?」
そう言いながら、晶も雑誌を覗きこんだ。
しかし、雑誌のページの中に遙の姿はない。
あったのは、自然の中でバーベキューをしている家族の写真。
「ほむ。違う。キャンプ用品の雑誌。爽やかな朝に、はるはるのいやらしい水着姿なんて見るわけない」
「――とまとま、ひどーい!」
「汚らわしい」
「本当にひどっ!」
泊は遙に対して、わりとひどいことを平気で言う娘だった。
△▲▽▼△▲▽▼△▲▽▼
「キャンプ雑誌ってことは、とまりんのか」
「ほむ。いろいろとアイテムをチェックしている」
晶も机に広げられた雑誌をもう一度覗きこむ。
そこには三角、丸、細長いのと多様なテントが並んでいた。
「改めて見ると、テントって言ってもいろいろあるんだなぁ」
「ほむ。私の研究によれば、例えば構造で大雑把にわけると『突っぱるテント』と『突っぱらないテント』があるみたい。まあ、例外もあるけど」
その泊の説明に、遙が人差し指を顎に当てて一考する。
「えーっとぉー、突っぱらない方は、投げってことー? うっちゃりとか上手投げとかー?」
「なんで相撲なんだ。テントで相撲とるのかよ」
泊のつっこみの横で、晶が笑いだす。
「あはは。馬鹿だなぁ、遙。
「違うわ」
泊が淡々とつっこむ。
「グレてるテントってなんだよ。リーゼントなのかよ。パンチパーマのテントなのかよ。バカにするなよ、ツッパリねーちゃん。……というか、『ツッパリ』って言葉を知っている若者がいることにわたしゃあ驚いたよ。なめ猫もビックリだ」
「むしろ、とまりんが若者じゃないことにビックリだよ……」
晶は呆れた声で静かにつっこみ返した。
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「突っぱるってのは、テンションの力で立っているかどうかの話。細かく言えば全部、テンションはかかるんだけど。……例えばこれみたいな【ロッジ型】というのは、テンションというより家型の骨組みを組み立てることで立つタイプ」
そう言いながら、泊は雑誌の中の家のような形をしたテントの写真を指さした。
「組み立てはわりと簡単なんだけど、骨組みが多くなるから荷物がかなり重くなりやすいらしい」
そして次に指をさしたのは、円い天井のテントである。
「それに対して、フレームをたわませて、それを天幕やらの生地に引っかけてテンションで立つようにしたのが、ドーム型。今の主流はこれみたいだね」
最後に指をさしたのは、三角錐のテント。
「そしてまさにテントていう形の【ワンポールテント型】。インディアンタイプとかティピー型とも言うみたい。これは布の周りをペグで固定して、真ん中にポールを立てて布を突っぱらして立てる方式」
「ああー、これなら知っているわー」
遙が嬉しそうに両手の指先を合わせて三角形を作ってみせる。
「私の美しい水着姿を見た殿方がー、よく立てるテントと同じ構造ねー」
「おい。やめろ、歩く不健全」
平坦な声でつっこむ泊の横で、晶が両手で顔を押さえながら身もだえを始める。
「そそそそっそうだぞ、遙! な、なんてこと言うんだよぉ~! そ、そういうことは言っちゃダメなんだからな!」
(……かわいい……)
(……かわいい……)
男勝りだが下ネタに弱い晶に、ほっこりとしてしまう泊と遙であった。
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