【σσ 29本】逃亡者!

下から怒号が聞こえる。流石に気づかれた。派手に牢屋をぶち壊したし、両腕に抱いているのは、人間の敵っぽい。そう言えば勇者に魔族の残党がいるから気を付けろって言われたの今思い出しました。遅すぎ。

何やってんの?

完全にテロリストを脱走させた人類の敵なんですけど…。


「結構上昇しているけれど、まだ天井見えない!どうなってるんだここ!」


「どうやら死刑囚を収監する ユバラバ監獄塔みたいですね。でしたら現在地は聖地ファストユナの西地域郊外のようです」


「目的地に着いていたのか…」


「旅人殿!光が見えてきました!」


「うおっと!!」


勢いよく塔の屋上から飛び出した。屋上上空の横風で危うく絨毯から飛ばされそうになり、必死にしがみつく。


「これからどうしたら?」


「謝罪して!」


「へっ?」


メダルからの想定外の返事に、すっとんきょうな声を出してしまった。


「丁重に謝って!じじょうをはなしさえすれば、大丈夫!」


「…無理だと…」


「なぜ?」


その質問と同時に屋上から放たれた無数の火玉が魔法の絨毯に襲いかかる。


「「悪魔を殺せ!」」「「悪魔を殺せ!」」

「「悪魔を殺せ!」」「「悪魔を殺せ!」」

「「悪魔を殺せ!」」「「悪魔を殺せ!」」


「こわっ!なんだ黒いフード被ったKK○団みたいな痛い集団は?どっちが悪魔だよ…」


「あれは大罪人の死刑執行官も兼務しているレミダント魔法連隊ですっ!今日はこの塔の死刑囚の誰かの執行日だったようですね」


「まさかこのお姉さんじゃないよな…」


「火玉を問答無用で放って来るんですけど!」


「…」


メダルは、沈黙した。








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