【σσ 14本】 復活の呪文!
「今って春夏秋冬どの時期なの?」
「はいマスター。春です」
「にしては寒いよね…底冷えする」
「夜ですしね」
「夜桜ってこんなに綺麗だったんだ」
前の世界では、決算期。3月、4月は何かと忙しかった…複数の期限付きの仕事に追われたまのプライベート時間の記憶も曖昧で、桜をまともに愛でる時間なんてなかった。
此処はシュテンドウシの西の外れの小さな公園。提灯でライトアップされた桜の花が淡く桃色を光らせていた。夜桜を見に来る人々の気持ちがようやく分かった。
桜が吹雪いている。今日は強風が吹いていた。春の嵐だったのだろう。桜の盛りも最後。
「さあ!始めますか!」
目の前の女戦士が月がどうこうと言っていたが、この世界にもあるのか。
夜空を見上げると綺麗な月が姿を見せていた。
役割分担は滞りなく行われた。
メイドさんに真面目にやってくださいと怒られました。
『おいぱばで よんでくぱ ありまとう
おちおもい つかないが らおわりまつ』
一瞬で文字は消えた。
復活の呪文は何故日本語の平仮名なのだろうか?
「こんなものが読み取れると言うのか?」
女戦士の疑いの眼差しが強すぎてフライパンと卵があったら目玉焼きが出来るわっ!と思いながら写真記憶した文章をアウトプットしようとしたが…
ん?あれ…なんか記憶した画像がぼやけている…解像度が落ちている感じではっきりと文字が分からない…特に濁点と半濁音が区別出来ない!てんてんなのか、まるだか…。ヤバいこんな事実が知れたら確実にあの暴力アマゾネスにオーバーキルされる!参ったなぁ…。
「こっちは一度死んでいるんだ!開き直って…やってやるっ!!」
先ほど現れた呪文を頭の中から読み上げる僕。
『中途半端に甦りますが、甦らせますか?』
『YES』
『NO』
なんだ?中途半端って…
やはり…呪文を間違えたようだ…
Yes?いやいやいや…あのアマゾネスが必死に、なって甦らせようとしている奴をもし中途半端に蘇生させて…
「ぼぐねぇ。大きくなったらねぇ…おどうさんみたいな…おずもうさんになるんだはぁ」
みたいな変なキャラで復活したら、この選択の一言が確実に人生のファイナルアンサーになってしまう。
考えろ…考えろ…どうして記憶がぼやけるんだ…
そうだ…目だ!レベルが上がった時に、目が悪くなっていた!眼鏡が必要だっ!メガネ!メガネ!メガネ!
「!!」
「借りるねっ!」
メイドさんの掛けていたメガネを拝借する
「選択肢はNOだ!もう一度読み取る!」
「アイリ!鏡の反射をやり直して!」
「分かりましたマスター」
再び緑の文字列がフラッシュ暗算ほどのスピードで現れ消えた。
「つたないぶ んしょうお つきあいい
ただきあり がとうござ いましたあ」
復活の呪文を唱えた!!
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