【σσ 12本】戦士!
彼女は愚直に歩く。ある目的の為に。
――3年前の
彼女の深紅の赤髪は日の光を浴び血のように鮮やかに又風になびいて踊っている。背中には大きな棺を担いでいた。恐ろしい怪力の持ち主のようだ。
彼等の犠牲の対価として魔王は滅ぼされ世界に平和が訪れた。しかし唯一無二の親友を失い祖国は没落しこの女戦士には絶望しかないように思われたが、彼女の目は輝度、明度を増して強い生気を放っていた。何故?
それは、希望が有るから。
この
この2つのアイテムが揃うとき死人は完全に復活するという。
ある賢者からその言い伝えを聞いた彼女は復活のアイテム探しの旅をしていた。もちろん親友を生き返らせる為に。
「主!あともう少しで大賢者様から教えていただいた場所ユーノー神殿に着きますゾイ。神官メリルが「時の砂時計」のありかを知っているとのことだゾイ」
小人獣人族のムゾロンが戦士の足元をちょこまか動き回りながら話す。よく踏まれないものだ。
「くどい!わかっておるわ!五月蝿い小人もどきよ」
「小人もどきとは聞き捨てならんゾイ!」
「謝罪がない限りここから離れんゾイ!」
戦士の右足に抱きつくモフモフ。
「嫌がらせのつもりかもしれんが…ただ温かくて気持ちいいだけなのだが?」
「しまったらゾイ!オイラは癒しの一族だったゾイ」
「…もうエフタフの森へ帰れ」
「お断りゾイ!勇者マサユキの復活を見届けるまでは帰らないゾイ!」
「…好きにしろ」
「誰か!誰かいないか!」
神殿の境内で大声を上げる女戦士。
「無礼な!これだから田舎武士は軽んじられるのだゾイ」
「はぁ?」
足元を睨み付ける。
「そんなおっかない顔をしてもへーきだゾイ男児はそんな脅しで泣いたりしないゾイ」
「何かご用意でしょうか?」
神殿の奥から神官が姿を表す。
すると女戦士は右足を上空目掛けて蹴り上げた。
「泣きそうだゾーーーーーーーーーーーィ」
小人獣人族のムゾロンはくるくる周りながら空の彼方へ消えて行った。
担いでいた棺を地面に置くと、彼女はひざまずき。
「大声を上げた無礼をお許し下さい」
深々と頭を下げた。
「私はサマルトの戦士マトイと申します。ここに、ロキアイテム時の砂時計があると聞き参りました」
「時の砂時計ですか…」
分かりやすく表情が暗くなるメリル。
「ニアミスでした。もっと早くあの冒険者に砂時計が必要と言っておけば」
「ないのですね…」
「残念ながら…神のお告げ通りに優秀な冒険者は現れたのですが、その方が持つ伝説のアイテムを見ることが出来ませんでした。砂時計の力を見てみたかったのですが」
「その冒険者は何処に?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます