【σσ 6本】初クエスト!

初心者ソロプレイヤーが楽にこなせるお仕事クエストは?目を凝らして掲示板を見詰めているが。


『ロキの薬草をユーノー神殿の神官メリルに納めよ。報酬10000ゴールド』


メイドさんが読み上げてくれた。


なんかデスクの遠くから顔も見ずにな上から指示する上司のような物言いの文言で超陶しいのだが、薬草取るだけで、この超高額!と食いついた、しかしこの時、この難易度での高額報酬はおかしいと思うべきだったのだ。無知が成せる技、掲示板に貼られていたクエスト依頼の紙をひっぺがす。これで依頼を承認したことになるらしい。

薬草の生えている場所は、町から西の街道を歩き突き当たりにある巨木の一本杉からさらに北西に歩いた先の洞窟だと書いてある。この世界の文字は全く読めないのでまたメイドさんに読んでもらいました。


「また歩くのか…」


「マスター。洞窟にはモンスターが生息しております。気を付けて下さい。」


「装備をして下さい!装備を!持ってるだけじゃダメなんですっ!」


「そうびぃ?」


両手を上げながらジト目でお馬鹿なメイドを見詰める。


「あっ…申し訳ございません。渡すのを忘れていました。」


彼女は、スカートの中から青色の杖と白いローブを取り出した。スカートの中が、四次元になっているのかな?


「大剣とかが良かったんだけど、そんなおじいちゃんが使うような杖って…」


「大剣も持ってはおりますが、装備は無理かと。」


「マスターは、騎士ナイトではなく、僧侶ビショップなので。」


「いつの間に職業が決められてたの?この世界には、職業の選択の自由アハハン♪もないの?」


「ユノ様がお決めになられました。わたしと強い繋がりを築く為とおっしゃって。」


「その割にはあっさり君に僕を丸投げしたけどね。」


貰った杖を振り回しながら言った。スーツからローブに着替えた。ファンタジー感増すけどコスプレしてるみたいで、恥ずかしいです。


せっかくのやり直しの人生初日で、いきなり思い通りにならないとは、長時間歩いていたせいもあり、ストレスが溜まってきました。


そんな険悪な雰囲気の中、文句たらたらで町から出発した。もうあれだ!洞窟に出るとか言うモンスターを、コロしてうさを晴らすしかない!と強く思いながら重たい足を引きずり、ようやく現場洞窟に到着した時は、夜中になっていた。


「眠い…ダルい…かったるい…」


足を折りながらへたりこむ。とても洞窟でクエストを行う状態ではなかった。


「今日はここで野宿をいたしましょうか?」


洞窟の当たりは、石畳になっていて又壊れた石柱が何本も建っており、神殿の跡のようだ。


「神殿で野宿ってバチが当たらないかなぁ」


「この神殿はユノ様を祭っ…」


「良し!ここで野宿だ!」


アイリが言い終わる前に早口で決定した。僕あのちびっこに、遠慮する事など皆無なのだ。


アイリは、てきぱきと寝床の用意し、いつの間にか焚き火も起こされていた。


彼女は、直立不動で


「どうぞ私に、構わずお休み下さい。私は、人間ではありませんので、眠ったりいたしまんので。」


「…」


どんなブラック企業だよ。安い賃金なのに役職だけ管理職の肩書きにして、夜勤の残業代払わない経営者かよっ!


「寝なくていいのかもしれないけれど、横に成って目を瞑ってね…。なんか居たたまれないからっ!」


彼女を寝かせ毛布を掛けながら涙目で言う僕でした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る