❁❁❁❁

「会いたい」


彼はいつもストレートだった


「今、○○駅」


彼はいつも唐突だった


「会いたくなって 会いに来ちゃった」


彼は恥ずかしげもなくそんなことを言う


私は少しドキドキしていた


でも


どうせ今だけだろう


彼の性格からして


私が好きになって 振り回されて 捨てられる


それがすごく怖かった


だから ストップをかけていた


彼の気持ちに気づかないふりをして


彼からのアプローチをスルーして


でも彼はまっすぐだった


どんなに私が話をかわしても


まるで はじめて言うかのように


「ねぇ、 付き合おうよ」


私は彼に捨てられるのが怖くて


本気になるのが怖くて


いつまでたっても返事をしなかった


いつしか彼とのやり取りは終わっていた


私は彼は平気だと思っていた


私なんかにスルーされたくらいでなんとも思わないだろう


でも彼もちゃんと人間だった


「好きな人に気持ちを伝える度スルーされて平気な人なんていないよ」


と 後から彼が教えてくれた


今になって思う あの時の私の態度は 失礼すぎだと



時は流れ 私たちの間には何事もなかったかのように


穏やかな日々が戻ってきた


私たちはふつうの友だちだった


いや 少し違う


ふつうの友だちよりもなんかちょっと特別で


他の友だちとはちょっと違った


言葉にするのは 難しいような そんな関係だった


いつしか彼には新しい恋人ができていた






彼はいつも直球だった





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