第15話
1
『デイヴィット・クーパー、48歳 現在ステージ4のガンに犯されている』
佐渡はチェックインしているホテルの一室で久能がオリバーから奪ったPCでクーパーのデータを読み上げていた。
『妻と一人娘がいるようだが、現在は離婚しており独り身のようだ 数日前にサンズ・ケミカル社に移り・・D-361を投与された・・』
『”D-361”・・?』久能が聞き返した。
『無痛薬のようだが・・・おそらくそれの副作用・・というより暴走があったようだな』
『暴走・・?』ソフィアが聞く。
佐渡はPCを見ながら話を進めた。
『D-361はまだ認可されていない薬のようだ、それによりサンズ・ケミカルでも予想外の事態に陥ったみたいだな』
『クーパーは、娘と妻に会いに行こうとしている・・・』久能がつぶやく。
佐渡とソフィアがそれぞれ久能の方を見やった。
『佐渡さん、クーパーの妻と娘の所在を調べてもらえませんか?』
2
◇日本:ZACK
日付は変わろうとしている夜更け、ZACKの一室が薄明かりに照らされていた。
黄昏貴美子はPCから聞こえる音声に耳を傾けていた。
《久能は必ず見つけます、そして必ずクワトロを採取します》
貴美子はさらにイヤホン越しから聞こえる会話に集中する。
《”バベルと共に”》
イヤホンを外し、長い黒髪をを掻き上げると
『佐渡長官が推測した通りだったわ、比留間はバベルの人間だわ』
黄昏貴美子はPCから録音されたデータの入ったUSBを抜き取ると部屋を出ようとしていた。
その時、”ドン!”という爆発音と共に突然ドアを蹴破って中に男が入ってきた。
爆風でふっ飛ばされた貴美子は部屋の壁に体を打つつけ倒れ込んでいた。
男は小型消音銃を構え、貴美子に近づいてきた。
比留間だった。
『佐渡のさしがねか?』
『比留間長官はバベル側の人間だったのね』
『日本・・いやもはや世界は破滅に向かってる』
『それを正すのが我々の仕事じゃないのですか』
『ZACKは生ぬるい、平和ボケした奴らを気づかせるためには・・一度破壊するしかない』
『それでは何も解決しませんよ』
『”バベル”が新世界を作り上げる、、その時はお前はこの世に居ない』
比留間は銃を構えると黄昏貴美子に向けた。
その時、比留間は背中に何か突き刺さったような感覚を味わった。
しかし、そう思った瞬間 比留間はその場に倒れ込んだ。
破壊されたドア付近にフードを被り弓矢を持った人影が見えた。
『大丈夫ですか』
楠木宗介/ナイトイーグルが立っていた。
『帰ったんじゃないの?』
『まぁ、T都観光もアリかな?って思いまして』
黄昏貴美子は少し微笑みながら立ち上がると、、、
『ウソが下手ね』
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