第13話
1
◇オーストラリア:シドニー
オリバー・デッドウェルはセキュリティサービスと共に捜索していた。
『なんとしても先に見つけ出さなくては・・・』
その時、セキュリティサービスの一人が小さくつぶやいた。
『社長、あそこ・・』
セキュリティサービスの男が指さした先に倒れ込んだクーパーがいた。
『クーパー、君の状態は極めて危険だ すぐにラボに戻ろう』オリバーは優しい口調で近づいていった。
『約束が違うぞ・・』クーパーはオリバーを睨みつけた。
『臨床試験の最中なんだ、我々に任せてくれ』
『うるさい! うぉーーーーーー!』クーパーは雄叫びを上げるとオリバーたち目掛けて突進してきた。
セキュリティサービスが銃を撃ち放つ。
弾丸はクーパーに命中したが、クーパーには効いていなかった。
クーパーはまたシドニーの街へと消えていった。
『追うぞ』オリバーが再び車に乗り込もうとした時、後ろで声が聞こえた。
『サンズ・ケミカルのオリバー・デッドウェルだな、シドニー市警だ 巨人に関することで聞きたいことがある』
そこには拳銃を構えたディクソンが立っていた。
2
◇シドニー市警
取調室にオリバーが座っていた。
ディクソンは部屋のドアのあたりで腕組みをして立っていた。
『あの巨人について何か知っていますか?』取り調べは本部長が行っていた。
『彼は我々の被験者です』
『何に対する?』
『新薬のです』
『そこで何があった?』
『それを調べる為に、彼を連れ戻そうとしている』
『あの巨人を静める方法は?』
その質問にオリバーはクスクスと笑い始めた。
『私はクーパーを見て確信しましたよ 彼には拳銃も爆弾も効かないだろう』
『どういうことだ』
『彼は”無痛の男”だからだ・・・私はある意味最高傑作を作り上げたのかもしれない』
3
シドニー市警では巨人はデイヴィッド・クーパーであると公表する方針で固めていた。
『本部長!待ってください』一人の制服警官が割って入る ディクソンだ。
『実名の公表は控えるべきです』
『しかし、これほどの被害をもたらしたんだぞ、ディクソン』
『彼も被害者です』
ディクソンは力強い目を本部長に向けていた。
4
久能とソフィア、佐渡の3人は車のナビのテレビから流れてきた速報を見ていた。
シドニー市警本部長が緊急会見を行っていた。
《シドニーに現れた謎の巨人について、まだ捜索中です 現在もシドニー市内の何処に潜伏している可能性があるので付近の住民は速やかに避難してください》
《具体的な対処法はありますか?》記者の質問が飛ぶ。
《残念ながら、現時点では拳銃及びその他の武器などは効かないとの報告を受けています》
記者たちがざわめいた。
《尚、我々はこの謎の巨人について正式なことが分かるまで
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