第12話
1
『お前もオレを捕まえに来たのか!』
久能はすぐさま左腕を掲げた、その先端は指の原型がなくなり鋭く尖っていた。
『待て、待て 私はZACKの人間だが比留間とは違う』佐渡は運転しながら懸命に久能に訴えかけた。
『だったら何者なのよ』ソフィアが問いかける。
佐渡はハンドルを少し強く握ると静かに語りだした。
『ZACKは確かに、君の能力を手に入れようとしている・・特に比留間はな』
『あんたは違うって言うのか?』
『ああ、私は君の父親である久能道忠博士の意思を受け継ぐ為に君を探していたんだ』
『親父の・・?』
『君の父親は確かに君に”クワトロ”血清を打ち込んだ しかし、それは君の為だったんだ』
『オレの為・・?』
『君は物心付いた時からクワトロの能力を得ていたが、生まれた直後から重い病に犯されっていた』
『オレが・・?』
『ああ、君はこのまま死を迎えるだけだった・・そこで博士は奥の手を使ったんだ』
『”クワトロ”を打つこんだ・・』ソフィアがつぶやいた。
佐渡はソフィアの言葉には答えずに話を続けた。
『”クワトロ”血清は急速な細胞分裂によって人体の力を活性化させる効力がある、それにより死んでいく細胞をクワトロの急速再生能力で常に補っていくことで君はかろうじて生きているんだ』
『・・・というこは、”クワトロ”の能力が無くなったら オレは死ぬということか・・』
『今までならばな』
『どういうこと?』ソフィアは後部座席から身を乗り出して佐渡に聞いた。
『君を蝕んでいた病の特効薬が、ついに完成したんだ』
『ホントなの!?』
『ああ、つい最近な』
『なら久能は・・普通の人間に戻れるのね』
『そうだ、その為の血清も用意してある』そう言うと佐渡は助手席にあるジェラルミンケースを指さした。
『久能道忠博士が君の為に密かに開発していたものだ』
2
◇日本:ZACK
ZACK本部の向かいにあるビルの屋上に一人の男が立っていた。
男はZACKの本部の方を見ると徐に背中に手をやった。
矢筒から1本、矢を取り出すとZACKのある一室に狙いを定めた。
矢を放つと矢はロケットの打ち上げのように下から切り離しが行われ、ある一室の窓の上部に張り付く時には矢の先端だけになっていた。
その矢の先端はシリコン型で作られており、窓に張り付くと吸盤のように強力に張り付いた。
先端には盗聴器が備え付けれている。
『ブラックカイト、どうですか?』
黄昏貴美子はPCを操作しながら確認した。
PCから比留間の声が流れてきた。
《バッチリよ、ありがと 宗介くん》
『ミッション中はコードネームで呼び合わないと楓さん怒りますよ』
《楓は堅いのよ》
『それにしても、割に合わないT都出張ですよ』
《観光でもして帰ったら?》
『いいえ、とんぼ返りで陸奥に戻ります』
《”ナイトイーグル”も大変ね》
(NIGHT EAGLE -justice of arrow-参照)
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