第47話 あの国に突入する!

 みんながどこか緊張している雰囲気のままであの国の近くに着いたので適当にそこら辺に降りる。みんなが降り終わると小さいトカゲの姿になりクラーの肩に乗る。


『おお、もう着いたのか。意外と近いんだな』

『グイスそれは違うよ。そこまで近くはないんだよここはね。多分緊張しているから時間が速く感じたんじゃないかな?それになんでそこまで緊張しているの?』

『それはだな、前に調査に行っただろう?その時に少しばかりやらかしてしまってな、何故か指名手配なるものになってしまったのだ。それで逃げるように家に帰ってきたわけなのだが……』


 衝撃的だった。確かになにかはやらかすとは思っていたけどまさかここまでやるとは想像もつかなかった。


『えっ?そんな事になるなんて一体なにやったの?』

『かなり言いづらいのだがついお腹が空いてしまってな、こっそり魔石を作って食べようとしたらシヅキに見つかってしまい私とシヅキで取り合っていたら周りの人間達にガッツリ見つかって何故か追いかけられたという話なんだが』

『なにそれ? ……二人とも馬鹿じゃないの?!魔石位半分にして食べれば良かったじゃん!』

『それもそうなのだが……。そうなってしまったものは取り返しがつかないものなのだ。すまない』


 うん、そうだね。本当はこっそりと行きたいところだったけどこうなったら思いっ切り堂々と行ってやる事にしようか。


『それだったらもういっその事私とクラーが目立つようにして広場に行く。だからその間に紫月とグイスが行けば、周りの人間達に気付かれないと思うけどどう思う?』

「それはやりやすいけどあまり色ちゃんに負担はかけたくはないからね。本当に気を付けてね?」

『ヤバかったら逃げるから大丈夫。クラーもいてくれているからね』

『そうです。主様になにかあった時は私が付いているので、主様は私に任せて紫月は奴隷とやらを助けに行けば問題ないですよ』


 それを聞いた紫月は考え込んだ後にコクリと頷いて


「ちゃんと色ちゃんを守ってあげてねクラー。もし守り切れなかったら、私は貴女を二度と信用しないから」

『そんな事わざわざ言われなくてもしっかりと主様は守ります。紫月こそちゃんと目的を達成させてくださいよ?』

「なに言っているの?私がその程度の事で失敗するとでも?そこまで信頼されていないなんてね。大丈夫よ、私はちゃんと出来るから」


 このままだとクラーと紫月が口論し続けそうだったので、ここは無理矢理にでも話を進めないと!


『クラーと紫月その話はもう良いから、私とクラーがあの国に乗り込むときに紫月とグイスは小さくなっててほしいの。そっちの方が更に気付かれにくいと思うし、動きやすいと思うからね』

「うん、そうだね」『了解だ』


 そう言ってふたりともそのまま小さくなった。私はクラーの肩から降りて前にここに来た時と同じ5mのドラゴンになる。よし、これで中に入る準備が出来たね!


『じゃあ早速乗って!クラーはふたりが飛ばされないようにしてあげてね』

『紫月に本当は手を貸したくないのですが、主様がそう言うのならば仕方がありません。やりましょう』

「ふん!私だってクラーの手を借りたくはないよ!だけど、色ちゃんがそう言うのなら素直に従うけどね」


 前はこんなに口論していなかったはずなんだけど……?凄く謎です。一体なにが起きたんだろうと不思議に思っているとみんな乗り終わったみたいで


『主様もう出発しても平気です』


 クラーからこう言われてはっ!となって飛び立った。前に降りた広場を見つけて少し勢いをつけて着地をする。それなりの轟音がしたんだけどこれで良い感じかな?

 紫月とグイスはそそくさと私から降りてどこかに向かった。少しすると人間達が結構集まってきた。


「おい、あれを見ろよ!」「あれって前に来たドラゴンと同じじゃない?」「それってマジかよ!?」


 なんだか人間達がごちゃごちゃ言っているけど気にしないことにしてっと。これからが本番だね。さてどうするべきか?そう思ったらクラーが私から降りて言う。


「私はこのドラゴンの主です。ですから私の指示一つでこの国を破壊する事が出来ますのであまり調子に乗らないでくださいね?」


 その言葉に人間達はざわつき始めた。そして何気なくクラーが主になっているんだけど……?まあ、別にそれでもいいと思ってしまった。


「それは本当かよ!」「でも嘘を言っている訳じゃなさそうだわ」「確かにドラゴンならその位の事簡単にできるんじゃないか?」


 とか色々言っているけど凄くうるさい。人数が人数だからなんだろうけどね。後、不思議な事に怖くはなかった。クラーと一緒にいるからなのかな?分からないや。


「ここに来た理由はただ一つです。この国の王に聞きたい事があるので誰か王を連れてきてください。その事が本当かどうかを聞きたいだけです。もしも嘘を吐いたなら一人残さず消しますのでどうか吐かないでくださいね?」


 すると、人間達が急に道を開けた。これはもしかしなくても


「いいや。私はもう来ている、連れてこられる必要はないな。さてその話だが一体なんの事だ?」

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