第40話 隠し部屋にあったものは……

 「ねぇクラー手分けして探すよ!きっとどこかしらにスイッチかなんかあるはずだから、見逃さないでね!」

『勿論、分かっています!紫月こそ見逃さないでくださいね!』

「分かっているよ!どっちが先に見つけるか勝負だからね!」

『望むところです!きっと私の方が速いと思いますがね』


 つい、私の方が速い!と言い返しそうになったけどそれはやらない。それだと私が挑発に乗ったみたいになっちゃうからね。

 さて、ここのどこに隠し部屋があるのかな?まず壁を探し尽くしてみよう。





 ……んー。起きたけど、なにこの状況?紫月とクラーが二人ともグッタリしてるんだけど?なにがあったんだろう?


『ねぇ二人ともグッタリしているけど、どうかしたの?』

「隠し部屋のスイッチが見つからないんだよ……。いくら探してもね」

『同じく見つからないのです……』


 ふーんスイッチねー。軽く見渡してみると……んー。あれ?普通にそこにあるんだけど。しかもとても凄く分かりやすい場所にスイッチみたいのがあった。

 そこを指さしながら


『んーとね、二人ともかなり言いづらいんだけどスイッチっぽいのそこにあるよ?』

『「えっ!?本当に?」あるのですか?』


 二人ともそこを見ると驚いたみたいで絶句してた。

 まあ、しょうがないよね。あれだけグッタリするまで探していたのに、あんなに簡単な場所にあるんだからね。気持ちは凄く分かる。

 あれだよね、灯台下暗しってやつ。とそんな風に納得していると


「おかしい、あんな所何度も見ていたはずなのに……」

『そうですよね。どういう事なんでしょうか?もしかすると、主様となにか関係があるのでしょうか?』

『……えっ?なにそれ?私心当たり全くないんだけど?言ってて怖くなってきた……』


 普通に耐え切れなくなってきたので紫月の服の中に逃げる。


「ちょっとクラー、あまり色ちゃんを怯えさせないで」

『すみません。そんなつもりではなかったのですが、そう思ってしまったもので……』

「ごめんね色ちゃん、確かにそう言われるとって納得出来ちゃう。でもなんで色ちゃんなんだろう?良く分からないね。まあ、こうして考えていても分からない事は分からないままだからさっさとスイッチ押してみようよ!」

『うん。そうだね。押そっか』


 カチッと紫月がスイッチを押す。するとゴゴゴッとどこかが動いた音がした。気になって頭だけを出す。


『あれですかね?梯子がありますがでも、ただの穴ですね。どういう事なんでしょうか?』


 クラーがそう言うので紫月も近づいて穴を覗いてみると中は明るいし、梯子がついている。


「多分、ここから隠し部屋に繋がっているんだよ!それじゃ行こう!」


 それで降りていくとそこには実験データを書いてあると思われる紙が大量に置いてあった。文字が読めないからなんともいえないけどね。


「ん?これは……そっか、なんとなくはそうじゃないかと思っていたけどやっぱりそうなんだ。あの糞野郎、絶対に許さない!!」

『紫月、それってどういう事!?』

「んーとね、簡単に言うと私を召喚した国あるでしょ?そこの王様糞野郎がそれをやるように指示していたって事」

『つまり、あいつが犯人だという事だよね。じゃあ早速行って……』「駄目だよ色ちゃん。行くのには反対しないけどなんの対策もせずに行ったら色ちゃんがまたボールみたいなもので操り人形になっちゃうかもしれないんだよ!分かってる?」


 確かにそう言われると、そうだよね。私が焦りすぎた。それに今焦っても意味がないから、一旦落ち着こう。


「よし、落ち着いてきたね色ちゃん。じゃあこの紙を持って帰ってから、作戦会議しようね。クラーも集める手伝って」

『分かりました』


 少しして紫月とクラーは紙を集め終わったので、私がエネルギーを使ってファイルを作る。そして紫月が紙をファイルの中に入れてまとめた。これで持ち運び楽チンになった!


「それじゃあ、ここを出ようか。……えっと、入り口どこだっけ?」

『私がちゃんと覚えていますので、問題ないです。紫月私についてきてください』

「はーい!」


 これでここから出て行けると思いきや、そんな事はなかった……。むしろこれからが地獄の始まりだった。

 まず梯子を登ってその部屋からは出られたんだけど、ここからが問題だった。どこをどう行けば入り口に繋がるのかが通路が複雑過ぎて完璧に迷子になってしまった。

 それでも諦めないで歩き続けても全く入り口に戻れる予感がしなかった。誰もが諦めかけたその時


『……そういえば、地図持っていましたよね?』

「うん、そういえば地図というものがあったね……。はい、これ」

『でも私達ってここの地図のどこにいるかすらも分からないですよね……?』

「あっ、そうだったね……」


 これでやっと出れるかと思ったけどまだまだ時間がかかるみたいだね……。もう嫌だ!私はもう耐えれない!紫月の服から飛び出してドラゴンの普通サイズになって上を私が通れる位の大きさでエネルギーに変えて穴を作った。


「……始めからこうしておけば良かったんじゃないの?」

『紫月、それは言ってはいけませんよ……』

『なに言ってるのか良く分からないけど、紫月、クラー早く行くよ!』

『「はーい」』


 そんな風に最終的には出ましたとさ、おしまい、おしまい。……って昔話みたくなってるし!そもそも、まだ物語は続くからー!

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